6週間の予定でジュネーブに来ています。11月末にフランスのニースの大学医学部で環境保健に関する集中講義を二日間行い、その翌週にはジュネーブで小児環境保健についての会議を開催するので、その準備のためです。この1年、11月の会議の準備に奔走してきたので、いよいよ会議の準備も大詰めと思うとまたもや緊張でよく眠れない日々が続きます。

 日本では10月22日に衆議院議員選挙が行われました。私はその前の週の平日夜にデパートで期日前投票を済ませたのですが、結構な行列ができていて驚きました。期日前投票はよく利用するのですが、たいていは係の人が手持ち無沙汰にしていて、行列ができるなんてことは見たことがなかったからです。しかし結局投票率は53%程度で、台風の影響などもあったのでしょうが関心は低かったようです。

 投票の結果、自民党が圧勝し安倍さんも一安心されたことでしょう。選挙の間は封印していた憲法改正が可能になるでしょうから。

 ところで、前回ジュネーブ出張に来た際にNHKワールド(NHKの海外向け英語放送)で「AIArtificial Intelligence)=人工知能」の特集を放送していました。AIの発達はものすごい勢いで進んでいて今や社会の隅々に活用されており、将来AIで世界が変わる、という内容でした。

 その番組を見てショックを感じたのは、政治家をAIで作ろうと研究している人たちがいたことです。生きた人間と変わらないような表情を作るアンドロイドを作り、過去の膨大な政治に関するデータをインプットして「完璧な政治家」を作ろう、というのです。メリットとしては、「有権者の人気を気にすることなく最も適切な政策を取ることができる」というのです。うーん、たしかに。人間じゃないんだから暗殺される心配もないし。

 番組の中で、将棋の名人戦ではAIロボットが次々に天才的な人間棋士たちを打ち負かしていました。過去の膨大な将棋のデータを元に最も勝つ可能性のある手を打つのだそうです。それはそれまでの常識にはとらわれない、全く新しい作戦です。

 AIアンドロイド政治家の話題を見ていて、昔読んだ手塚治虫の「火の鳥」という漫画を思い出しました。遠い将来の話、ある男がアンドロイドの恋人を持っています。アンドロイドの首にはボタンがいくつか付いていて、男のその日の気分によって「甘え上手な女」、「ワイルドな女」などに変わるのです。なんて便利なんでしょう!そしてこの漫画はすでに半分実現しているのです。

 犬や猫などのペット型ロボットはすでに販売されており、人と会話する介護ロボットも登場しました。床掃除をきれいにするロボットも売れていて最近はそのロボットに人格を求める消費者も増えています。名前を付けて会話するのですね。

 掃除、料理、洗濯ができて会話も楽しめるアンドロイドが開発されたら、たしかに面倒な生身の恋人はもう不要!私もぜひ購入したいものです。政治家AIアンドロイドも、いいかも。

 AI恋人にうっとりのウサギ