私の母は多趣味の人でした。

文化服装学院で洋裁を習得していたので、

そちら方面、つまり刺繍、パッチワーク、刺し子などは言うに及ばず、

木彫りや木目込み人形、はがき絵など楽しそうにやっていました。

あ、そのほかにも『おしゃれ工房』（今は『すてきにハンドメイド』）をテレビで観て、おもしろそうなのがあると作っていましたね。

とっても器用だったのです。

この木彫りのお皿も母の作です。

母が亡くなってしばらくしてこれを手にしたとき、

お皿は未完成で、三つに分かれていました。

お皿の縁の部分は割れて二つになり、

真ん中の円盤状のパーツは木の収縮が一様でなかったせいか縁に収まらない状態でした。

おそらく母は木彫りを終えて、父に縁と円盤状の2つのパーツを組み合わせてくれるように頼んだのだと思います。で、父はうまく収まりそうにないものを力任せに押し込んだため縁が割れた…。

で、そのうちなんとかしようと思っていてそのままになってしまった…。

そういう経過だと思います。

母の病は突然発覚し、

あれよあれよという間に亡くなってしまったので、

あとにはこのほかにもいろんなやりかけのものが残りました。

私はそれをともかくも完成させようと思って引き取ってきたのです。

（私がやらないともう誰もしません）

このお皿の縁の部分はボンドでくっつきましたが、

円盤状と縁は、イスラエルとパレスチナのように全くかみあおうとせず、

（これは悪い冗談だな…、いや冗談ではない、悪いのはイスラエルですよ）

少しずつ円盤状の縁を裏側から削って、やっと押し込みました。

本当はこの位置ではないのですが（ぶどうの蔓が縁と中でつながっていない）、

いいことにします。

で、一昨日完成したこのお皿に盛るのは、

なんとスコーンなのです！

（ここは笑うところです！）

今日、拙宅で俳句の集まりがありますからそこに出すのです。

朝から焼きました。

一つはココアとゴマのスコーン。

もう一つはラムレーズンとアールグレイ紅茶です。

俳句の会ではスコーンの話もしますが、

お皿と母の話もします。

どなたにも「お母さん」はいますからね。

それは堂々とするのです。

★母の木皿