外国語を理解したければ辞書は引くな | geneumiのブログ

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【少数民族の楽園】

外国語を理解したければ辞書は引くな

 

考えてみれば、当ブログ管理者はロクに英語がしゃべれない。

タガログ語も然り。

それなのに、現場で会話に困らない。

 

一つは耳が慣れた。

単語はそれなりに知っている。

 

独特のフィリピン訛の英語はすんなり耳に入って来る。

タガログ語も時々分かる。

 

どうしても気になるときは聞き返す。

相手がまったく英語を話せなくても、何とか意思の疎通ができる。

 

フィリピン人の60代くらいのオジサンたちは結構英語を話す。

もちろん、若い世代の英語をちゃんと勉強をした人はきれいなクイーンズイングリッシュ。

 

フィリピンの国語はタガログ語。

英語が必修だったのはアメリカ統治時代のなごりである。

英語は小学校から習うようだが、昔程熱心ではない。

そんな彼らの英語力は、当ブログ管理者のレベルとどっこいどっこい?

 

ある人は言う。

外国語を理解したければ辞書は引くな。

 

言葉は分からなくとも、相手が伝えたいことに意識を集中すると自然に意図が伝わってくる。

その度に辞書を引いている場合ではない。

そんなことをしていたらコミュニケーションは成り立たない。

 

始めから長い、深い、意思の疎通は望めない。

最初はゴクゴク短い、シンプルな意思の疎通で充分である。

 

しかし、これには条件がある。

相手もこちらと同等に、伝えたい意志があること。

そしてその内容に関して、しっかりとした意識を持っていることである。

 

 

以前のプロジェクトで現地ボスだったフィリピン人とは、わりかし深い会話を交わした記憶がある。

彼はインテリで、日本で言えばNTTに相当する一流企業のサラリーマンだった。

もちろん英語も堪能。

 

もうすぐ10年にもなる昔の話だが、いつものように一仕事終て、誰ともなく小宴会が始まる。

最初は当ブログ管理者と2人だけだが、やがて近所のオッサン連中が集まって来る。

当時はまだ40代後半、二人とも結構酒が強かった。

 

近所のオジサンが集まると、当然、言語はタガログ語一色。

しかも、酔っぱらい、ほとんど意味が理解できない。

ただ、話のトーンや流れを聞いていると、ここが笑いの壷、ここがブーイングの壷、ここがハイタッチの壷という具合にソコソコ楽しめるのである。

時々、こちらに話を向けて来るときは、英語で聞き返しつつも、少しは冗談で返したりする。

 

夕闇が迫ると一人、二人と客は自宅へ帰っていく。

まだ眠るには早いオッサン同士はそこからまた、いろいろな話をする。

彼は仏教について質問する。

日本の武士道について質問する。

酔っぱらっているので、どんな英語で、どんな内容を話したのかまったく覚えがないが、少なくとも、双方が意志を伝えたくて仕方がないとき、会話は成立する。

ブロークンもいいところ、しかし、相手の意志は漏らさず汲み取っているから不思議なモノである。

 

もうすぐクリスマス

 

そんな彼が豹変したのは、2011年以降。

2011,311のあと2年半ほど現地へ行けなかった時期を経て、随分久しぶりに、いつものように再会した。

そして、昔のように酒も飲んだ。

 

しかし、なかなか意志が入って来ない。

当ブログ管理者の英語力、理解力が低下したのも一因ではある。

仕方がないので、わざわざ別のフィリピン人スタッフに英訳してもらい確認する始末。

以前とは違うとても強い違和感を持った。

 

理由は少し後でハッキリした。

 

覚せい剤である。

 

どうやら、以前から覚せい剤に手を染めていたようだ。

しかし、常習性、頻度が一気に高まったのはこの2~3年ほどらしい。

 

彼には2人の奥さんがいた。

フィリピンでは重婚は死刑。

なので正式な結婚をせずに、正妻と側室のような2つの家庭を両立する人は少なくない。

それぞれの奥さんを満足させ、不満をもたせずに暮らすのはなかなか大変である。

経済力もさることながら、2つの家庭を和合させるだけの「マメさ」が不可欠。

 

彼は元々大地主の家系だが決して裕福ではない。

その分、気を配ることで円満に暮らして来たのだが、それが一気に崩壊してしまった。

 

正妻は家を出、娘2人も父親を見捨てた。

これは止むを得ない、何しろシャブ中である。

 

不思議なモノで、その後の彼とはかなり簡単な会話も成り立たなくなった。

こちらはつたないながら、意味の通じる英語で話す。

時に声が大きくなる。

なぜなら、彼と進めて来たプロジェクトがボロボロになってしまった。

コッチにも背に腹は代えられない事情がある。

損失を補填しろとは言わないが、説明くらいはマトモにして欲しかったのである。

 

彼は別のフィリピン人スタッフに、当ブログ管理者の発言をタガログ語に直させていちいち聞いている。

つまり、リアルタイムな会話ではない、いちいち辞書を引いているのと同じである。

 

彼は一カタマリの発言の意図を全体として理解できない様子である。

多分、バラバラの断片を聞いている。

 

一昔前と立場が逆転してしまった。

表向き昔のように振る舞ってはいるが、彼の意識は飛び散っている。

 

 

彼はいつも超小型の銃を持っている。

セルフディフェンスが当たり前の国である。

 

最後に彼を訪ねたときのドライバーは助っ人、日頃は重量機械の運搬をしている屈強な大男。

随行したフィリピン人スタッフも秘密兵器を所持。

たった3年前まで、娘を彼の家に1週間も預けたこともあった。

もちろん、奥さんと娘さんが一緒だが、それが今じゃ武器を持って警戒しなければならないほど険悪な関係。

 

地元の名士、大地主の父親を持つ彼は、良くも悪くも目立つ存在である。

子どもの頃から成績優秀、しかも父親の代までは富裕層。

ファミリーネイムを冠したストリートで暮らす子ども時代から敵は多かった。

 

そんな濃密な田舎暮らしが嫌になりマニラでサラリーマンになった。

だが、都会の暮らしはどうにも馴染めず、自分の土地に帰って来た。

 

そして成れの果てがシャブ中。

いろいろなところで出入り禁止にされている。

中には殺してやりたい程、恨んでいる人間もいるという。

こちらもそれ相応の準備をして出向くしかないのである。

 

シャブ中の恐ろしさは(人格を破壊する)まえに、意識(言語や感情の断片化)が進行する。

彼の以前を知る者として、その凄まじい落差に驚愕した。

 

アメリカと戦っていた頃のフィリピン

 

ドゥテルテ大統領が言うようにシャブ中は治らない。

何百万ものシャブ中を抱えた国は恐ろしい勢いで疲弊する。

やがて子どもに蔓延したら一巻の終わりである。

 

意識は身体とともあるのではない。

生まれてくるときに携えた霊性覚醒の種とでもいうべき非物質の容器に入っている。

そして、それは高位次元「宇宙あるいは霊界」との中継器でもある。

 

まったく初めての外国語でも、意志があれば意思の疎通が可能なのは、この中継器が機能するからである。

 

覚せい剤はこれを無惨にもズタズタに引き裂く。

シャブ中は身も心も、日に日にアイデンティティを喪失して断片化していく。

一度でもやれば死ぬまでその損傷が残る。

 

人格崩壊、家庭崩壊、孤独死。

だが、その前に人間関係のもつれや、あちこちで恨みを買うなど、おのれの振る舞いがブーメランのように我が身を打ちのめす。

悲惨な人生になる。

家族は逃げるしかない。

距離を置くのではない、絶対的に決別する以外ないのである。

 

我々も、このフィリピン人とは縁を切った。

彼が今どうしてるのかまったく知らない。

 

 

当ブログ管理者はきれいな英語を話すようになりたいとは思わないが、もうすこし何とかしたいとは思っている。

 

だが、本気で意志の疎通を希求する状態にならないと言葉が口をついて出ない。

本気のときは思考以前に言葉が飛び出していく。

 

人間は、つくづく不思議な生き物だと思う。

 

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