フランス国立図書館 @ Paris by 山中コ〜ジ | GENETO

フランス国立図書館 @ Paris by 山中コ〜ジ

$GENETO-フランス国立図書館

フランス国立図書館が竣工したのは1994年のことで、建築家はドミニク・ペローというフランスの建築家です。
このプロジェクトと言えば実際に建った建築と、最後まで闘ったレム・コールハースの案が有名です。
学生の頃から幾度か授業に出て来たプロジェクトとして、僕の頭の片隅にいつも残っていました。

このプロジェクトもミッテラン大統領による「グラン・プロジェ」により計画された建築物です。

ドミニク・ペローの作品について、これまであまり興味が無かったのですが、一体何に他を圧倒する魅力があるのかと言う個人的な疑問もあり、是非とも行っておきたい建築でした。

$GENETO-フランス国立図書館

メトロからしばらく歩くと、スケール感が他とは全く違うタワーが現れます。
それが、まさに図書館なわけですが、この硝子で覆われた4本のタワーは旧市街には合わないでしょうが、この地域の町並みを創造したかのように見えます。
というのも、本来はパリの中でもさびれていた13区のセーヌ川沿いの、再開発を目指しての計画だったので、今日の近代的なアパートや、オフィスビルの建ち並ぶ風景はやはり図書館がある程度の役割を果たしたと考えてもおかしくは無いと思うからです。

$GENETO-フランス国立図書館

ドミニク・ペローの作品は”大阪富国生命ビル”を少し横目に見たくらいで、大した印象は無かったのですが、ザハやジャン・ヌーベルの様に解り易い作風ではありません。
それもシンプルな素材と表現方法、完成度の高いディテールで造られている為でしょう。

$GENETO-フランス国立図書館

僕がこの建築を通して思いを巡らせた事は設計競技当時の事でした。
というのも、現在GENETOも多くの設計競技に参加しており、設計競技での作品作りを通して自分達はどのように建築の設計と取り組むべきか、という重大な事柄について考える機会に直面しているからだと思います。
設計競技は多くの要件が混在しています。
敷地、予算、法規、用途、使用者側の思い等々、様々な条件が多くあり、それらが当初は混沌とした状態で存在する。
それに応えようとすればするほど、自分たちが目指す建築とは離れてしまう様な気がします。
結果的に出題者側の要件に振り回された状態で、案が出来上がってしまう。
そんなシーンが事務所では度々ありました。

そんな自分への葛藤に対する有効な解答を、この建築は教えてくれた様に感じました。
多くの考える機会を与える建築であると。

$GENETO-フランス国立図書館


$GENETO-フランス国立図書館


$GENETO-フランス国立図書館

ドゴールから始まった首都改造計画は、ポンピドー、ジスカールデスタン、ミッテランと引き継がれ、このような素晴らしい建築がパリの至る所に存在し、結果的に新たな文化を育む拠点ともなっています。
政治主導で文化を育み、結果的に国を興す切っ掛けを作ると言う方策は、政治家が優秀でないとそこまで壮大かつ結果が見えにくい判断はできません。
目先の経済をどうこうと言う解り易い話ではないからです。
その点において日本の政治家と国民は想像力を働かせるべきで、おそらくそんな場合反対に立つメディアの人間には、最もその能力を持ってもらいたいものです。



関連記事

Dominique Perrault Architecture


GENETO
山中コ~ジ