P53は、がんの抑制遺伝子として説明がなされることが多いのですが、
最近の研究では多用な働きをしていることが分かってきています。
P53は、1979年に肉腫ウイルスであるSV40の結合するタンパク質として
発見されました。はじめはがん遺伝子と考えられていましたが、
1989年ころからがん抑制遺伝子であることが明確になってきました。
また、研究が進むにつれてがん抑制遺伝子としての働きのみではなく、
細胞の周期を停止させる機能や、
細胞が損傷を受けた時に細胞自身が自死する(アポトーシス)機能を
誘導する働きをしていることも報告されるようになりました。
さらにP53遺伝子(転写因子)の下流で働いている遺伝子にも
関与していることが分かるようになり、
老化現象や生活習慣病など広い範囲で機能を果たしていることが分かってきています。
細胞の核の中にある遺伝子は、二重のらせん構造をしています。
活性酸素などのストレスなどによって、
その二重らせん構造の片方だけが損傷を受けた場合は、
修復がスムースに行われるのですが、
同時にその二重のらせんが損傷を受けた場合(double strand break.DSBs)は、
大きなダメージとなります。
DSBsが起きると、細胞周期(細胞が新しい細胞へと生まれ変わる周期)が停止されて、その損傷を修復しようとします。
うまく修復ができればよいのですが、修復不能の場合は、
アポトーシスを起こして、それ以上損傷を受けた遺伝子が残ることを防ぎます。
この遺伝子損傷が起きた時に、そのセンサーとして働くタンパク質や酵素があり、
一連の反応経路を形成しています。
その下流で主として働いているのがP53で、
遺伝子損傷の回復過程に重要な役割を果たしているのです。
日本遺伝子医療臨床研究会
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引用元:P53遺伝子について1