この記事のポイント:

―自分に合う仕事を見つけるには、業種や職種などの「大きなカテゴリー」よりもまずは「スキル」から。

―最初は自分に「スキル」など無いと思っていても、「得意なこと」「好きなこと」「縁があること」から始めてみれば、段々と「スキル」は身に付いていく

―活動する:「スキル」と「好きなこと」が交差する部分の「仕事」をやっているのはどんな会社、組織、人、仕事があるのかをリサーチし、その分野にいる人にどんどん会い、話を聞き、わらしべ長者式に関係を広げ、構築して行く

 

さて、「スキル」を基点に考えることが、「自分に合った仕事」を見つけるためにとても大事であることについて前回書きましたが、今回はその続きです。

 

「総合職・一般職」とざっくり分けるのではなく、「マーケティング」「リサーチ」などのより細分化された「職種=ジョブ」で採用する「ジョブ型雇用」がようやく始まりつつある日本では「スキル」という考え方はまだまだ新しいのかもしれません。

 

ただ、欧米の企業では、私が勤めている会社をはじめ、すでに「ジョブ型」から「スキル」に基づいたキャリア開発に移行しはじめています。

 

どういうことでしょうか。

 

例えば、ある事業会社でとあるブランドの公式SNSのコンテンツ作成と管理がメインのお仕事の「ソーシャルマーケティング」担当のマーケッター職の人がいるとします。仕事の中で彼が培ってきたスキルは以下のものがあるとしましょう:

 

―コピーライティング(SNS投稿のコピーを書く)

―消費者ないしオーディエンスの志向・動向の分析・調査

―上記インサイトに基づいたコンテンツ戦略の策定=コンテンツカレンダーのエディトリアル

―コンテンツ作成

―SNSに特化したマーケティング

 

これらのスキルが当てはまる部門や職は、同じ企業内でどういったものがあるでしょうか?

 

―消費者ないしオーディエンスの分析・調査→調査部門

―コンテンツカレンダーのエディトリアル→コーポレート(日本語であれば総務、社長必、ないし企業広報)部門の社長をはじめ、企業全体の公式チャンネルなどにおけるエディトリアル

―マーケティング→、eコマース部門におけるマーケティング

―コピーライティングやコンテンツ作成→コンテンツに特化した部門、あるいは社長室直属で社全体のコンテンツやブランディングを担当

 

いかがでしょうか?「肩書」あるいは「ジョブ」だけで見てみると「SNSマーケッター」で、これ一つに限定されるような気がします。でも、「スキルベース」で考えると、社内でもコーポレート部門からビジネス部門(総務的な部署から対消費者ないしビジネスに直接従事している部門)、調査部門と、色々な移動の可能性があることがわかります。私の会社では、その様に「スキル」を軸に考えることで、より広いキャリアの可能性があることを知ってもらい、モチベーション維持と部門を超えた人材の多様化・流動化に繋げています。

 

これを「転職」と考えた場合はどうでしょう?彼のスキルを活用できる転職先の可能性には、コンテンツ制作会社、デザイン会社、コンサルティング会社、メディア、LINEやZozoなどのSNSやeコマースプラットフォーマーなど、色々な業種への転職の可能性があることがわかります。

 

これがスキルベースの考え方です。

 

振り返ってみると、私のキャリアの転換点となったタイミングでは、いつもこの「スキル」が大きな役割を果たしてました。

 

学生時代、私は進路に悩んでいました。悩んでいた理由は、私がなりたい「職業」には「就職」という方法が無かったからです。当時やってみたかったことには以下のもの:

 

―批評家・評論家・ライター

―ジャーナリスト

―映像制作

 

どれも就職してすぐになれるものではないw。ただ、当時すでに、好きだった映画や舞台の現場に顔を出しているうちに、段々と上記のお仕事に近い「スキル」を身に付ける機会に恵まれるようになりました。

学生時代、英語をはじめ語学が得意だったことから、通訳や翻訳の「バイト」をやっていました。そんな中、ある時、海外のパフォーマーのインタビューを通訳していたら、編集部の方にこう言われたのです:


「あなた通訳するときの日本語の言葉選びがすごくいいわね。センスあるから記事も書いてみない?英語ができる人って大概日本語はダメだったりするんだけど、あなたの場合は日本語の語彙も多いし、こだわってるのがわかる」

 

その時、私はすぐOKして、記事を書きました。そんなことが各方面で起き始めて、周りが就活をはじめるころには、大手企業の初任給と同じくらい稼ぐようになっていたのです。

もちろん、最初は文章を書いてお金を稼ぐなんて、トレーニングも受けていないし、インタビューをやったこともないんですけど。ただ、誰だって、最初から「モノになっている」わけではないですよね。誰だって、どんなプロにだって「初心者」だったことはあるわけです。どこかでゼロから「はじめ」ないことには、何も始まらないのです。

 

大事なのは、まずは「できるんじゃない?やってみる?」と言われるようになること。言ってもらえた理由は、おそらく、「たかが通訳」であったとしても、私は一生懸命、その人が言いたいことを魂をかけて伝えようと思ってやっていたからなのかもしれません。もちろん、本もよく読んでいて、自分の表現力も鍛えていたのかもしれません。とにかく全身全霊、全力で、一つ一つのバイトに臨んでいたことは確かです。そう言う風に努力していると、気づいてくれる人は気づいてくれるんですよね。

 

そして、言ってくれる人に会いに、言ってくれそうな人がたくさんいそうな「場所」に通う事、顔を出すこと。そして、「やってみたら?」と言われたら「やります!」と言える勇気を持つことです。

 

字数制限に到達してしまったので、いったんここで締めますと、スキルベースでキャリアを構築するポイントはこちら:

 

・好きなこと、気になること、はどんどん追求すること。

・自分の「なりたい自分」にすでになっている人にアンテナを立てて、どんどん会いに行く、話を聞く

・どんな仕事でも、一生懸命、全身全霊、頼んでくれた人の役に立てるように頑張ること。細かいディテールに気を遣うこと。

・「できるんじゃない?やってみる?」には乗っておくこと

 

次回以降は、私が「スキル」と「好きなこと」に重きを置いて就職をしなかった経緯と、それがどのようにしてキャリア構築に繋がっていったのか、についてご紹介します。
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