一曲目はシャンソン(フランスの流行歌)の「Autumn Leaves(枯葉)」だ。参考にするレコーディングはキャノンボール・アダレイの「Somethin’ Else」に含まれるバージョンにする。このアルバムは、コロンビアとの契約があったため自分の名義ではBlue Noteに録音できなかったマイルス・デイビスが、キャノンボールをリーダーに据えて全面協力したことで有名だ。

 

 マイルスの「Kind of Blue」のようにモードで演奏されるイントロのあと、マイルスがテーマを吹く。その後、キャノンボール(アルトサックス)、マイルス(トランペット)、ハンク・ジョーンズ(ピアノ)の順でソロが回され、マイルスとハンク・ジョーンズによってテーマが演奏され、イントロと同じモードの後奏で終わる。

 

 キャノンボールとマイルスのソロが好対照で面白い。キャノンボールのソロは音数が多く、ブルースのように音を曲げたり、ターゲット音を伸ばしたりと、ジャズとポップスの中間をいっている。それに対してマイルスのソロは、コード転回に忠実で、少ない音数で思慮深くリリカルな世界を作っている。

 

 新しい曲を練習するときには、参考とするレコーディングを5回は通して聞きたい。そうやってメロディやコード転回を耳で覚えるのだ。とはいえ、それぞれ音感の発達具合によって一回で聴取できる情報が異なるので、5回にこだわらなくてもいいし、メロディやコードを完全に覚える必要もない。ある程度、聞き込んで、飽きてきたら次のステップに移ってほしい。