この歳になってみれば、誕生日など別に何の感慨も湧きませんが、子供の頃、特に小学生以下の折には、正に一大イベントでございました
年に一度だけ、自分が家庭の中の主人公になれるのです
よほどのヘマをやらかさない限り怒られる事も無いし、豪華な食事やケーキを振る舞われ、普段なら絶対買ってもらえない様なプレゼントを貰えるのです
これが嬉しくない筈がありましょうや
この変態野郎の私にも、そんな可愛らしい時期があったのです
生まれた時から今みたいなんじゃなかったんですからね

さて、今でも忘れられないのが、40年以上も昔、まだ幼稚園児だった時の、ある誕生日の出来事です
親父が、何とラジコンカーをプレゼントしてくれたのです

何しろ40年以上も前の当時、そんな物は大金持ちのお坊ちゃんでも中々持っていない、夢の玩具でした
勿論、触るどころか実物を見た事さえありませんでしたよ
それが今、自分の目の前にある

今で言えば、3DSのゲーム機とPS3、そして最新ソフトを10本まとめてプレゼントされた様なものと言えば判って頂けるでしょうか
幼い私は狂った様に欣喜雀躍致しましたとも

すっかりハイになって笑いが止まらなくなった挙げ句、軽い喘息が出て呼吸困難に陥ってしまい、慌てた母に無理矢理ジュースを飲まされたくらいです

とは言えそこはやはりまだまだ子供、すぐに食い気が勝って、目の前の御馳走に注意が移り、談笑しながら食べ始めました
食べ終わって母が洗い物をし始めた頃、早速親父と私はラジコンカーに飛びつきました
親父は
「まぁちょっと待っとけ。
お父さんが動かしてみて、それからお前にやり方を教えたるわ」
と、ボディーに乾電池をセットして取説を読みふけっております
待ちかねる思いでしたが、子供心にも親父の言う事が尤もだと判りましたので、大人しく待っておりました
取説を読み終わると親父はやおら立ち上がり、コントローラーのスイッチを入れました
いよいよエンジンスタート

次の瞬間、勢いよく発進したラジコンカーは、柱に激突

一瞬にしてバラバラになってしまったのでございます

親父と私は、しばし呆然と立ちつくしておりました
目の前で起こった悪夢を、とても現実のものとして受け入れられませんでしたね
だってあの夢の玩具が、たったの2秒でガラクタになってしまったのです

しかも私は、コントローラーに触ってもいないのです

私は大声で泣き喚きました

当時の私にとって、これ以上ないくらいの喪失感に襲われて、ひたすらに泣き続けました

赤子だった妹も、私につられたのか、ベビーベッドで大声で泣き始めました
もう無茶苦茶ですよ
異変に気づいて駆け付けた母も、泣きそうな顔で
「何しとるん

が可哀相じゃろ
」
と親父を怒りまくっております
親父は親父で相当気まずいらしく、下を向いて
「うん、うん
」
と頷いているばかり
「ごめんな~
、ごめんな
」
と謝る姿を見ていると、不思議と怒りは湧いて来ませんでしたが、それから小一時間ばかり泣き続けました

今考えると、親父も母も辛かったでしょうね
オシャカになったラジコンカーの代わりに、後日「こども科学百科」なる事典を買ってもらいました
小さい頃から本が好きだった私は、母に字を教わっていたので、幼稚園に上がる前から大抵の児童用書籍は読めたからです
しかもこれはシリーズ物で、月に一冊ずつ新しい物が届けられたので、本当に楽しみでしたね
漢字を覚える事も出来ましたし、あのチョイスには今でも感謝しております
毎月送られてくるのだから決して安くはなかっただろうに、有難い事ですよ
書き進めている内に、日付が変わってしまいましたね
それでは皆さん、良い日曜日を


お休みなさい







年に一度だけ、自分が家庭の中の主人公になれるのです

よほどのヘマをやらかさない限り怒られる事も無いし、豪華な食事やケーキを振る舞われ、普段なら絶対買ってもらえない様なプレゼントを貰えるのです

これが嬉しくない筈がありましょうや

この変態野郎の私にも、そんな可愛らしい時期があったのです

生まれた時から今みたいなんじゃなかったんですからね


さて、今でも忘れられないのが、40年以上も昔、まだ幼稚園児だった時の、ある誕生日の出来事です

親父が、何とラジコンカーをプレゼントしてくれたのです


何しろ40年以上も前の当時、そんな物は大金持ちのお坊ちゃんでも中々持っていない、夢の玩具でした

勿論、触るどころか実物を見た事さえありませんでしたよ

それが今、自分の目の前にある


今で言えば、3DSのゲーム機とPS3、そして最新ソフトを10本まとめてプレゼントされた様なものと言えば判って頂けるでしょうか

幼い私は狂った様に欣喜雀躍致しましたとも


すっかりハイになって笑いが止まらなくなった挙げ句、軽い喘息が出て呼吸困難に陥ってしまい、慌てた母に無理矢理ジュースを飲まされたくらいです


とは言えそこはやはりまだまだ子供、すぐに食い気が勝って、目の前の御馳走に注意が移り、談笑しながら食べ始めました

食べ終わって母が洗い物をし始めた頃、早速親父と私はラジコンカーに飛びつきました

親父は
「まぁちょっと待っとけ。
お父さんが動かしてみて、それからお前にやり方を教えたるわ」
と、ボディーに乾電池をセットして取説を読みふけっております

待ちかねる思いでしたが、子供心にも親父の言う事が尤もだと判りましたので、大人しく待っておりました

取説を読み終わると親父はやおら立ち上がり、コントローラーのスイッチを入れました

いよいよエンジンスタート


次の瞬間、勢いよく発進したラジコンカーは、柱に激突


一瞬にしてバラバラになってしまったのでございます


親父と私は、しばし呆然と立ちつくしておりました

目の前で起こった悪夢を、とても現実のものとして受け入れられませんでしたね

だってあの夢の玩具が、たったの2秒でガラクタになってしまったのです


しかも私は、コントローラーに触ってもいないのです


私は大声で泣き喚きました


当時の私にとって、これ以上ないくらいの喪失感に襲われて、ひたすらに泣き続けました


赤子だった妹も、私につられたのか、ベビーベッドで大声で泣き始めました

もう無茶苦茶ですよ

異変に気づいて駆け付けた母も、泣きそうな顔で
「何しとるん


が可哀相じゃろ
」と親父を怒りまくっております

親父は親父で相当気まずいらしく、下を向いて
「うん、うん
」と頷いているばかり

「ごめんな~

、ごめんな
」と謝る姿を見ていると、不思議と怒りは湧いて来ませんでしたが、それから小一時間ばかり泣き続けました


今考えると、親父も母も辛かったでしょうね

オシャカになったラジコンカーの代わりに、後日「こども科学百科」なる事典を買ってもらいました

小さい頃から本が好きだった私は、母に字を教わっていたので、幼稚園に上がる前から大抵の児童用書籍は読めたからです

しかもこれはシリーズ物で、月に一冊ずつ新しい物が届けられたので、本当に楽しみでしたね

漢字を覚える事も出来ましたし、あのチョイスには今でも感謝しております

毎月送られてくるのだから決して安くはなかっただろうに、有難い事ですよ

書き進めている内に、日付が変わってしまいましたね

それでは皆さん、良い日曜日を



お休みなさい






