ある高校のバスケットボール部主将のお話。
その人は、中学時代と今とでは大きく変わっていた。
変わってはいたものの、その当時から付き合っている彼女がいる。
そんな彼と彼女のお話です。
-誠凛高校-
昨年新設されたばかりのバスケットボール部。
部員数は11人と少ないが、年々力を付けているのは間違いない。
部員の他には、現役女子高生でバスケ部監督の相田リコと、主将日向順平の彼女でマネージャーの香純。
13人で始まった2年目のバスケ部。
13人中8人が2年生である。そして、主将とマネージャーが付き合っているのを知っているのは2年生のみである。
リコ「みんなー一回集合!」
日向「どうした?カントク。」
リコ「新しいフォーメーションをやってみようと思ってね♪」
日向「嫌な予感しかしねぇよ。」
リコ「大丈夫よ、日向君。今回はマネージャーの香純が考えたフォーメーションだから。」
伊月「香純が?それなら安心だな。」
リコ「伊月クン?それどういう意味??」
香純「順平、これが今回のフォーメーションね。」
日向「ありがとな。」
火神「カントクの考えたやつってそんなに辛いのか?…ですか?」
小金井「辛いな!うん!」
日向「コガ、伊月みたいになるぞ。」
小金井「え!?それだけは勘弁して!」
伊月、現在リコにシバかれ床で伸びてます。
リコ「さて、始めましょうか!」
香純「本当に、あれでよかったのかな?」
リコ「大丈夫よ。私達のラン&ガンスタイルが練り込んであるもの。」
香純「前のやつに工夫しただけだよ。」
黒子「香純さん。」
香純「どうしたの?黒子。」
黒子「カントクと日向先輩以外の先輩とあまり話さないんですね。」
香純「気のせいじゃない?」
黒子「伊月先輩とか木吉先輩とか話してるの見たことないですよ。」
リコ「クラスじゃいろんな人と話してるわよ。」
黒子「部活でですよ。」
日向「黒子ー!なんでお前はそこにいる!」
黒子「カントクと香純さんと話してただけです。」
日向「カントクや香純とどんな話だよ。」
黒子「香純さんのこと、呼び捨てなんですね、日向先輩。」
日向「言っとくけど、オレだけじゃねーからな、呼び捨てなのは。」
黒子「知ってますよ。呼ぶ捨てじゃないのは小金井先輩と水戸部先輩だけですもん。」
小金井「オレも最近は呼び捨てできるようにしてるよ。」
火神「やらないんすか?」
日向「そうだった。伊月もいつまで寝てる気だ!」
伊月「寝てないよ。はっ…猫が寝転ぶ!…キタコレ!」
日向「コガ、ハリセン持ってきて。」
伊月「なんで?!」
~~
香純「俊も相変わらずのダジャレセンスだね。」
リコ「いい加減にしてほしいわ。」
香純「中学と変わらないのは、俊とリコだけかな…。」
リコ「香純もありがとうね。日向君をバスケ部に誘ってくれて。」
香純「なんで?私、協力した覚えはないけど…。」
リコ「日向君、鉄平の言葉に後押しされたの。でも、香純が居てくれて良かったって言ってたわよ。」
香純「さすがだね、私の彼氏。」
~~
リコ「そういえば、どういう経緯で付き合い始めたの?」
香純「あれはね、中2の春なんだよね…。」
リコ「中2の春?なにかあったの?」
香純「あったよ。それが、中1から続けて受けてるいじめ。」
リコ「いじめ?!」
香純「そうだよ。正直あの日、とうとう死ぬんだと思った。」
リコ「香純がいじめ受けてたなんて初耳…。」
香純「いじめの主犯格の女がさ、私の髪引っ張って屋上まで連れて行かれてさ。これで終わるんだなって。私の人生終わるんだなって思った。」
リコ「なにをされたの?」
香純「何って、ロープ身体に巻き付けられて、屋上から吊るされたよ。その時は血だらけでさぁ。その時に屋上のドア 蹴破って来たのが順平だった。」
リコ「日向君、何気にかっこいい事するわね。」
香純「入ってきて何したかって、主犯格の女を殴ったんだよね。相手女なのに。順平が言うには、刃物持ってたから正当防衛だって。」
リコ「女の子相手に殴る?!日向君、正当防衛だとしても酷いわ。」
香純「女の子じゃないよ。女だよ。でもさ、その後がもっとかっこよかったんだよ。」
リコ「なにが?」
香純「ロープで吊るされてた私を引き上げてくれて、自分の来てたジャージを肩に掛けてくれたの。制服はカッターとかでびりびりだったし。」
リコ「うわぁ。」
香純「そのあと、彼は全員を追い出したよ。野次馬も含めてね。まぁ野次馬の中には俊も居たんだけど。」
リコ「伊月君が一番酷いじゃない!」
香純「まず知らないと思うよ。あの時の女の子が私だって。」
リコ「もう一回シバいてこようかな。」
香純「やめてあげて。俊は何もしてないから。でも嬉しかった。順平が来てくれて。」
リコ「え?」
香純「その時に告白されたんだ。『お前が好きなのに、助けてあげられなくてごめん。』ってさ。ホント嬉しかった。」
リコ「それで、付き合い始めたの?」
香純「そう。なぜかは知らないけど、順平も変わっちゃったんだけどね。元々おかしかったけど。」
リコ「ちょっと待って。その日って…バスケ部の練習試合があった日よね?」
香純「そうだけど…?」
リコ「他校の人に見せものにしようとしたの?!」
香純「そうだろうね。私も知ってたよ。その日にバスケ部が練習試合あったのも、順平と俊がロードワークしてたのも。」
リコ「ロードワーク行ったはずなのに、伊月君しか帰って来なかったのよね。日向君はそのまま帰って来なかったのよ。」
香純「私と一緒に保健室にいた。練習試合も出なかったでしょ?」
リコ「そのままね。練習試合も終わっちゃってたわ。」
香純「家まで送ってくれたんだよねー。それからいじめなんて綺麗サッパリ無くなったよ。」
リコ「普通に学校生活送っててたまに見える足の傷って…。」
香純「あのいじめで受けた傷だよ。全然消えないんだ。」
リコ「そうだったの。」
香純「あっ、そろそろ終わりだね。」
リコ「なんか辛いこと思い出させちゃった?」
香純「別にいいよ。リコにはいずれ話したいなって思ってたところだし。」
リコ「そう。休憩時間ね。」
~~
香純「みんな、お疲れ様。はい、順平、俊。」
日向「ありがと。」
俊「アリが10匹のありがとう。」
日向「黙れ、伊月。」
香純「コガに凛もお疲れ。」
小金井「ありがと!水戸部もありがとうだって!」
水戸部「…。(ニコ」
香純「どういたしまして。」
日向「香純。またなんか作ってきてんの?」
香純「あるよー。火神と黒子もいるー?」
黒子「あ、貰います。」
火神「貰っとくぜ…です。」
香純「順平、ちょっといい?」
日向「あぁ。」
黒子「(あやしいですね。)」
伊月「黒子、どこ行くつもりだ?」
黒子「どこにも行きませんよ。(伊月先輩、恐るべし。)」
~~~
香純「順平、あの日助けてくれてありがとね。順平が来てくれなきゃ死んでたよ。」
日向「別に。最初あれ見た時、人一人死ぬのが見たくなかっただけだった。」
香純「?」
日向「でもさ、近くまで行って気付いたんだよ。まさか、いじめ受けてる奴が自分の好きな人だとは思わなかったから。」
香純「当時から私の事、好きだったんだ。///」
日向「まぁ…な…/// 好きだよ、香純。///」
香純「私も、大好きだよ。/// ずっと一緒にいようね。」
~END~
こんな感じです。
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