ビートルズを聴き続けてもう30年近くになるが、「サージェントは本当に最高傑作なのか?」いまだにこの疑問はある。
一度も消えたことが無い。

世の中、誰も彼も猫も杓子も、ビートルズの最高傑作はSgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band(以下Sgt. Pepper)だと言う。
まるでイカれた宗教の信者が「幸福になるには○○の神様を信じるしか道は無い」とか言うのに似て、誰に聞いても一文字も違わず同じことを言うのだ。
世界的に有名な権威あるロックの雑誌なんか、ビートルズの最高傑作どころか、ロック史上最高の傑作アルバムはSgt. Pepperだと言う。
かの有名なRolling Stone誌もこの通り。

http://billboard-rock.com/ローリングストーン誌が選ぶ最も偉大な/post-374/

ほんまか?
ほんまにみんな、そう思ってんのか?
僕はいまだに信じられない。

はっきり言わせてもらうが、あんなアルバムそないにええか?

ビートルズは大好きやから、あのアルバムを好きか嫌いか?と問われたら、そら好きとは答えますよ。
YesかNoか二択なら、そりゃYesですよ。
事実、子供の頃からたぶん何百回も聴いてる。
でもね、ロック史上最高のアルバムを1枚選べと言われたら、あんなアルバム絶対選びませんね。
だって、ビートルズだけでももっとええアルバムあるもん。


曲は、凡曲に毛が生えた程度のがズラリ。
楽曲の質で言うならこのアルバムの前に発表されたRober SoulやRevolverの方がはるかに勝っている。
アレンジとかに手間暇とカネをかけてるのは分かるし、それらの技術や凝ったアレンジが後々のロックの歴史に影響を与えてるのも知ってる。
「ロック史上初のコンセプトアルバム」とか、もうあくびが出るぐらいみんな同じ評価をするのも知ってる。
でも、世の中みんな、そんな歴史的意義を振り返り、嚙みしめるために音楽聴いてるんですか?
「ああ、このアルバムがその後のロック史に与えた影響を感じるなあ。実に偉業だなあ」とか?
違いますよね。
ロック大好きな少年たちが、そんな風に学術的に、現代音楽史研究の観点でロックを聴くことなんて、普通は無いでしょ?

音楽を聴きたくなるのは、

「楽しいから」「気持ちいから」「カッコいいから」「感動があるから」とかであって、「音楽史上の意義が高いから」では無いと僕は思うんですよ。

「あんなアルバムはゴミ」とまでは言うつもりは無い。
でも、はっきり言って、ビートルズの、ましてやロック史上の、最高傑作とまで言うほど大したことは無い。

 

むしろビートルズにしては平凡な作品だとしか思えないし、同時期に録音された作品で言うなら、なんと言ってもシングルStrawberry Fields Foreverの方が圧倒的に素晴らしい。

あのシングル一曲で、その強烈な衝撃はアルバムSgt. Pepperを遥かに凌ぐ。

楽曲の質、演奏、アレンジ、すべてにおいて完璧。
ビートルズの最高傑作と言ってもいいと思うほどであり、まさに神の領域の作品だ。
Sgt. Pepperが軽いジャブ10発だとすると、このシングルはマイク・タイソンのKOパンチ1発だ。


僕はSgt. Pepperの真実はこうではないかと思っている。

ライブするのを辞めたヒマな4人が、スタジオであれやこれやと録音ごっこしてたら、たまたま数曲できた。
その中で、Strawberry FieldsとPenny Laneが飛び抜けて出来が良かった。
なので、これら2曲はシングルとして発売することにした。
「さて、残ったクズ曲どもはどうする?」
4人と、プロデューサーであるジョージ・マーティンは頭を悩ませた。
「とりあえず、このクズ曲ども集めてアルバムにしといたらええんちゃうん?

どうせビートルズの名前さえ付けといたら、なんでも売れるねんから」という方向で話はまとまっていった。
ただ、クズ曲を漫然と集めただけでは芸が無さすぎるし、さすがに世間様のひんしゅくを食らうかも知れない。

それに、こんなクズ曲どもをビートルズともあろう者が作ったというのも、なんとなく気恥ずかしい。
そこで知恵者のポールがひらめいた。
「ライブはもうせえへんって発表してしもたから、『その代わりにこのアルバムでライブを楽しんでください』ってことにしといたら、一石二鳥なんちゃうん?」と。
そこで「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Bandという架空の田舎バンドのライブショウ」というコンセプトを無理やり後づけすることにした。
ポールが適当に、同名の曲まで作った。
「まあ、こんなもんでええやろ。無理やり後づけしたとか、どうせわからんて」
これで完成。

アルバムSgt. Pepperの真実は、実はこの程度のことでは無かったのかと僕は想像する。

要するにクズ曲の寄せ集めとはバレないように、いかにも構想を練り上げ、考え抜いた大作であるかのように、インチキとまでは言わないが、ちょこっと小細工をしただけのアルバムでは無いのかと。
ビートルズの盲信的な信者は絶対言わない事だが、このアルバムがトータルアルバムとかコンセプトアルバムとか言われているのはあまりにもおかしい。

だって、「架空のバンドのライブショウ」というコンセプトから作られたアルバムであるなら、ライブで再現不能なエフェクトや効果音をてんこ盛りにしてるのはなぜか、ビートルズ信者の皆さんに是非説明してほしいものだ。
とても、架空の田舎バンドがライブショウで演奏できるようなアレンジでは無い曲がほとんどだ。

 

ライブやらなくなって暇すぎたため、当時ではありえないほどアレンジとかエフェクトとか凝りに凝って作った、シングルにはできない山積みの凡曲。
処理に困ってかき集めて、コンセプトは無理やり後づけした、ビートルズ一流のジョーク。

本人達はそれほどの大作を練り上げたつもりなど毛頭無かったと僕は推測する。

その後の世間の評価に一番驚いたのは、実はその程度の小細工でこのアルバムを世に送り出した本人達では無かったのかと思う。
「え?ロック史上初のコンセプト・アルバム?あんなもん、そんなに評価してくれんの?てかコンセプト・アルバムてなんや?そんなこと考えたことも無いけど」と。


言ってみれば、天ぷら屋が最高に美味しい伊勢海老の天ぷらを作って、それを売り出した。
残りカスの天かすがいっぱい残った。
捨てるのもなんなので、その天かすをかき集めて袋に詰めて、適当に洒落た名前をつけて売り出した。
この天かすが「世界最高の天かす」と評価された。
みたいな。
「え?そっちなん?」
みたいな。

The Beach BoysのPet Soundsを聴きながら。
そう思っているのは僕だけなのだろうか?

天国でジョンとジョージが、これを読んで舌を出して笑ってくれてたら嬉しい。