年が改まってあっという間の一ヶ月、
寒さの厳しい二月となりました。
春が待ち遠しくなる頃ですね。
今月は、先月の「うつ病」に続く第二弾です。
先月は、うつ病の治療に、鍼灸が効果があります、
ということをお伝えしました。
今回は、鍼灸でうつ病の治療って、どんなことをするの?です。
玄武堂では、鍼灸治療として
主に「始原東洋医学」・「自律神経免疫療法」・「中医学」の
3つの治療法を行っています。
今回ご紹介するのは、「始原東洋医学」です。
この治療法は、鹿児島におられた有川貞清医師が
開発された治療法です。
本来、人の体は病気になると、自然治癒力を発揮して治していきます。
しかし、治癒に向かうベクトルの異常が起こると、
いつまでも病気が治りません。
そのベクトル異常を指して「気滞」と言います。
「気滞」を見つけ、鍼灸治療によって
その異常を解消していくことで、
自然治癒力の手助けができる、
というのが「始原東洋医学」の考え方です。
実際の治療法としては、患者さまにリラックスして立っていただき、
全体のバランスを見ます。
その後、バランスの乱れである「気滞」からたどれる、
「反応点」と呼ばれるポイントに、ごく浅い鍼をしていきます。
症例
《 58歳女性 》
2年前、パニック障害(不安神経症)と診断され、
6ヶ月前から朝起きると口が異常に乾き、
舌が痛くなり、しゃべれない。
舌と歯がすれると痛い。右耳に耳鳴りあり。
右期門辺りに気滞、
右下腹部2点に+点、左前肩部・雲門・肩ぐうに-点、
右臨泣+点、左外関-点。
ベッドに仰向けの状態で全部で7ヶ所に浅い鍼をしました。
有川医師によると、姿勢の悪さによって起こる身体のねじれで、
不安神経症になる場合があるとのことでした。
《 26歳女性 》
パニック障害(過呼吸)、アトピー性皮膚炎、
肩こり、めまい、頭痛あり。
頭に気滞、右期門に反応点あり。
右腹部に+点、右頭部に-点、右腰部に+点。
仰向けの状態で5ヶ所、うつぶせの状態で3ヶ所に浅い鍼をしました。
《 53歳女性 》
配偶者が他界したため、大きな精神的ストレスがかかり、
めまい、うつ症状、難聴。
左耳下の気滞。左肩上部、左背部+点、左頭部2ヶ所-点。
いずれの方も、現在は症状が軽減もしくは消失していらっしゃいます。
うつによるさまざまな症状は、
薬でしか対処できないと思われがちですが、
鍼も薬と併用して対処できる、といえます。
玄武堂総院長
橋本多聞