今年は早く暖かくなり、桜の開花は例年よりも早いと聞きましたが、
それでもまだまだ、朝と夜は冷えると思いますので、
お体を冷やさないようにお気をつけ下さいね。
今回のひとやすみは腰痛についてお話ししたいと思います。
私が実際に診た患者さんについて話します。
七十八歳の男性で、左腰部痛を訴えて来院されました。
元々、慢性腰痛（鈍痛）を持っていましたが、
二～三日前の朝から痛みがあり、次第に痛みが強くなり激痛に。
高さは十番目の胸椎～二番目の腰椎にかけての痛みでした。
熱感（－）、圧痛（＋）、筋緊張（＋）、腰部の筋肉を伸ばすと
痛みが強くなる。運動不利。歩行時痛（＋）夜に痛みが強くなり、
寝返りをする際に痛みが一番強く、
日中は安静時での痛みはない。
腹診では左の腹部に圧痛（＋）、背部にまで響く痛みがあった。
原因を聞いたところ、打ったり、捻ったような記憶はなく
思い当たることが無いとのこと。
季節は六月下旬で夜も暑くなり始めたので、
エアコンを使っていると聞いたので、
寒湿による腰痛と考え治療を行いました。
施術後、痛みの軽減がみられ、歩行時の痛みも軽減したので、
１回目の治療を終了しました。
２回目に来院された時には、就寝中の痛みや寝返りの痛みは
無く睡眠もしっかり取れたとの事でした。
しかし、夜に布団に入り、脱力した際に痛みが強くなるとの事でした。
３回目・４回目と痛みも減少し、５回目の施術後には、
元々の慢性腰痛の痛みレベルまで、下がったので、
そこからは慢性腰痛に対する治療に移行しました。
腎は「腰の府」と言われ、腰とは密接な関係があります。
また、冷えにも弱い所です。
この患者さんの場合は、腎のパワー不足による痛みが
ずっと続いていたところに冷えが入り、
今回の痛みに繋がったと考え、施術を行いました。
本来、冷えによる痛みは冬のような寒い時期に起こりやすい
のですが、最近では、汗などの濡れた状態を放っておいて、
エアコンに当たり痛みが出るケースが増えています。
また同様に春先も、日中は暖かくなり汗をかきやすいので、
そのまま乾かさず朝夜の寒さで冷えて痛めている方もおられます。
腰痛は、おおまかに３つに分ける事ができます。
・腎虚による腰痛
腰の無力感やだるさ、鈍痛が特徴となります。
この腰痛は疲労により増悪することが多いです。
・寒湿による腰痛
腰の重だるさや冷えを伴った痛みが特徴で、
雨天や寒いときに痛みが強くなります。
・血おによる腰痛
いつも同じ場所が痛くなり、腰を針でさされているような痛みが
多く、はっきりとした圧痛点があり、押さえると痛みが強くなるのが
特徴です。
しかし、実際の臨床の場に立ち施術を行っていると、
上記の症状だけでは単純に分類する事はできず、
発生の原因やその他の症状、脈診、舌診などを行う事で
より詳しく証を立てて治療を行っていくことが大切だという事が
わかります。
また、慢性腰痛では揉んだりすると気持ちいい事が多いですが、
鍼灸治療と併用する事でさらに効果が上がります。
急性腰痛は安静が第一で、コルセットなどで固定する事で
痛みの軽減を図ったりしますが、
鍼灸治療で痛みの原因（冷えなど）を取り除いてあげる事で、
より早く痛みを取る事ができます。
慢性腰痛だと諦めている方も居られますが、
今回、私が診た患者さんのように慢性腰痛から激痛に
変わるケースも少なくありませんので、慢性だからといって
諦めず、是非治療に来ていただいたらと思います。
また、上記にないような腰痛の症状を抱えて居る方も、
是非ご相談下さい。
東洋医学玄武堂 豊中治療院
西本 将章