探偵に証拠集めを依頼したものの、僕もただ座して待つわけにもいかないので、引き続き証拠集めをしていましたが、これといった成果は出ずにいました。
そんなある日、妻のいない時間帯に何気なくリビングにある棚をまさぐっていたところ、見慣れない日記帳を発見しました。
こんなのあったっけ?と思いながら開いて見てみました。
字は明らかに妻のものです。
見ていると最初にあるものが目に入りました。
カレンダー様式のページに、所々一文字のアルファベットが書かれています。
なんだこれ?なんの記号だろう?
としばらく考えてみましたが、これについては現時点で考えても分からないのでスルーしました。
他のページには、『正社員の面接行ったが無理っぽい。なかなか難しい』と書かれています。
どうやら妻は離婚した後を見据え、正社員での仕事を探しているようです。
当然離婚するとなれば妻も子供たちを引き取るつもりでしょうから真剣に仕事を探しているようです。
もちろん簡単なわけはなく、それでも頑張って仕事探ししている妻に不覚にも同情して泣けてきました。
何故でしょうね、あんなにひどい仕打ちを受けているのに、苦労しているとなると可哀想に思えてしまいます。
妻は妻なりに、子供たちの事を不倫相手に頼れないと思っているのでしょうか。
相手のゲス男は何を仕事にしているのかなど、僕はそんな情報は当然全く知りません。
『もしかしたら経済力に乏しい男なのかもしれない。』
そう考えると、にわかに恐ろしい考えがよぎります。
妻が僕と離婚してゲス男と一緒になった場合、子供たちの生活はどうなるのか。
ちゃんと教育や医療は受けさせてもらえるのか。
最悪の場合、貧しさから虐待なんか受けてしまうのではないか。
そんな考えが頭をよぎり、ますます許すわけにはいかないと決意しました。
大人の勝手で子供たちが不幸になるのだけは許せません。
一瞬だけ妻に同情した僕でしたが、割り切って動がなければならないと決意を新たにしたのでした。