柳沢峠を下り奥多摩湖方面に向かう。
山梨県から東京都に入ったところから奥多摩湖が広がる。
奥多摩湖は東京の西の県境に位置し、都心から約65kmにある。
湖畔に車を停め、湖畔を小河内ダムの方に歩いて行った。
ちょうど紅葉が見ごろを迎えていた。
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奥多摩湖は小河内ダムのダム湖である。
小河内ダムは昭和7年に計画が決定し、昭和13年に建設が始まった。
途中戦争での中断があり、ダムが完成したのは昭和32年であった。
実に計画から25年、建設開始から19年の歳月を要した。
ここにはかつて集落があり、945世帯の移転を余儀なくされた。
その集落はこのダムの湖底に沈んだ。

ダムのほとりに歌碑がある。
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石には「湖底の故郷」と刻まれている。
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「湖底の故郷」は自分の住んでいた故郷がダムの建設によって湖底に沈み、移転した住民の心情を歌った歌謡曲である。
作曲は鈴木武男、作詩は島田磬也で東海林太郎が歌った。
碑の裏にはその一番の詩が書かれている。

湖底の故郷
夕陽は赤し 身は悲し
涙は熱く 頬濡らす
さらば湖底の わが村よ
幼き夢の 揺籠よ

また、このダムの計画から住民が村を去るまでが小説にもなっている。
石川達三の「日蔭の村」だ。

ダム堤の上を歩くことができる。
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ダム堤から下をのぞく。
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このダム堤の高さは149m。ちなみに日本一高いのは黒部ダムで186m。
小河内ダムの貯水量は1億8540万立方メートルで、東京ドーム約150杯分。
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ここ奥多摩湖と小河内ダムには約5年半ぶりに訪れた。
変わらぬ景色であるが、ここに来るとやはり湖底に沈んだ村のことが思い浮かび、「湖底の故郷」を口ずさむ。