東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立つ見えて
かへり見すれば月傾(かたぶ)きぬ

この歌は万葉集にある柿本人麻呂の歌である。
柿本人麻呂は万葉の歌人で、その生涯は謎とされるが、終焉の地が現在の島根県益田市沖という説もあり、私の実家の近くには高津柿本神社があり地元では「人丸さん」として親しまれている。

この歌は学校で教わった記憶があり、今も浮かんでくる。
その歌の意味は、情景からすると、早朝東の空を見ると日の出前の光が差しはじめ、振り返って西の空を見ると月が残っている。といった感じであろう。
実際はその情景に込めて違った意味があるようであるが、それはまた調べるとする。

私の関心は、その歌に歌われた情景というのはどういうものか、今でも見ることが出来るのかということ。
日の出前に沈む前の月が残っている条件とは。
太陽と月の関係を調べると、満月は太陽・地球・月がほぼ一直線にある状態。
満月の時は日の出と月の入りの時間がほぼ同じになり、日の出とともにやがて月は沈んでしまう。
その後は月の入りの時間はだんだん遅くなっていく。
日の出後でも月はまだ残っている状態となる。
下弦の月は日の出のころにほぼ空の真上にある状態。
傾いた月というと、満月後から下弦の月の前あたりといえる。

そこで実際その情景を見ることに。
昨日、東京湾アクアラインの海ほたるPAにてその情景を見た。
26日が満月であったから、その二日後ということになる。

海ほたるに到着したのは朝5時前。
あたりはまだ真っ暗。
この日の日の出時間は6時30分前である。

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夜明け前である。東の空には明けの明星がひときわ明るく輝いている。
アクアラインはこの時間にも車が行き交う。

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東は千葉県、やがて地平線近くが赤くなっていく。

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風は穏やかであるが、それでも海上は寒い。
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時間とともに空が白んでくる。
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日の出約30分前。西の空には傾きかけた月が輝いている。
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満月から少し欠けた月である。
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日の出直前、雲の境界線が輝き始める。
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そして太陽が顔を出し始め、あっという間に日の出となる。
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東京湾、海ほたるに「あさが来た」。

西の方角、横浜方面を見る。朝陽を浴びた富士山が見える。
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まだ空には月が残っている。
月と羽田空港に向か飛行機と富士山。
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東の野にかぎろひの立つ見えて かえり見すれば月かたぶきぬ

1300年以上前に歌われた歌であるが、当時と街の情景は様変わりしても、太陽と月の動きは当時のままである。
この情景を今も見ることが出来る。
天気がいいことと、朝早く起きることが出来れば。

朝、海ほたるは多くの人で賑わい始める、その前に私は海ほたるを後にした。