東京で桜が開花したのが23日。
最近の陽気で一気に桜の開花が進んだ。
昨夜、近所の夜桜を見に行った。
開花の日にはまだ数輪しか咲いていなかったが、この日は満開目前の咲き誇る桜が見られた。
夜空には月が明るく輝いていた。

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桜を詠んだ和歌や俳句を思い浮かべてみる。

いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重に にほいぬるかな 伊勢大輔

花の色は 移りにけりな いたづらに 我が身世にふる ながめせし間に 小野小町

ひさかたの 光りのどけき 春の日に しづこころなく 花の散るらむ 紀友則

世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし 在原業平

風さそう 花よりもなほ 我はまた 春の名残を いかにとやせん 浅野内匠頭

願わくは 花の下にて 春死なむ その如月の 望月のころ 西行

花の雲 鐘は上野か 浅草か  松尾芭蕉

どれも有名で、声に出して読みたい日本語にもなるほどのもの。
桜を題材に自身の心境を歌ったものが多いように思う。

さて、最近知った俳句を一句。
知る人は少ない。

朝も早よから 前頭前野は 桜です

作者は稲岡巳一郎。
私の父である。
父は金子兜太が主宰する同人誌「海程」で俳句をやっていた。
父が亡くなった時その「海程」に紹介された父の代表句の一つ。
5・7・5になっていないのであるが、それも父の俳句の特徴でもあった。

桜の季節の状況を表したものであろう。
世の中桜でいっぱい。朝から晩まで、世間も、頭の中も桜、桜、桜・・・
父の性格からすると、桜を美しいものとしてとらえるより、桜にまつわる社会を皮肉ったとも思える。

かくいう私も、前頭前野は 桜です。