今朝、ふとこの和歌がうかんできた。
「東風吹かば 匂いおこせよ 梅の花 主なしとて 春なわすれそ」
この時期になると毎年うかんでくる歌である。
ラジオで梅の花の話題をしていたので、梅といえばこの歌となったのである。
菅原道真が大宰府に左遷されたときに詠んだ歌である。
そしてこの歌謡曲も次いで口ずさんだ。
湯島通れば思い出す
お蔦 主税の心意気
知るや白梅 玉垣に
残る二人の 影法師
「湯島の白梅」。小畑実が歌った曲で、泉鏡花の「婦系図」をテーマにした歌である。
湯島天神が舞台になっている。
菅原道真は湯島天神に祀られ、学問の神様としても有名である。
そして湯島天神は梅の名所ともなっている。
なんの偶然か、この二つの歌から湯島天神に行くことを思い立ったのである。
先日石見神楽の公演で「天神」という演目があり、これは菅原道真が藤原時平への雪辱を果たすものであった。
菅原道真がここに誘ったかのようである。
幸い今日は遅い出勤だったので、午前中湯島天神を訪れた。
今ちょうど梅まつりが開催されていた。
ここ湯島天神には約300本の梅の木がある。
花はまだ五分から六分咲きといったところか。
寒さで開花が遅れているのかもしれない。今日は暖かかったので開花が進んだか。
これからが見ごろになるようだ。
梅の木は多くの種類があるものだ。ここでは白梅が八割位を占めるそうである。
「梅一輪 一輪ほどの 暖かさ」
「婦系図」の作者である泉鏡花の筆塚の碑。
「別れろ 切れろは 芸者の時にいう言葉・・・・」はこの作品の台詞である。
やはりここは天神様。学問の神で合格祈願のメッカである。
合格絵馬の多さに驚かされる。
まさに今が祈願のピークであろう。
私もある受験生の合格を祈願して仕事に向かった。
昼間湯島の梅を美しく照らしていた太陽は富士山の頂の向こうに沈んでいった。