加山雄三のYahoo記事より

2023年10月8日──。 谷村君がまさかこんなに早く帰らぬ人になるなんて。今も信じられない。身体が悪かったなんて、俺はまったく知らなかった。 彼と最後に歌ったのは2022年の24時間テレビだった。いつものようにフィナーレの前、二人だけで「サライ」を歌った後、彼に抱きしめられてね。びっくりしたよ。 あのときは、彼が俺のことを案じてくれているのだと思った。その少し前に脳梗塞をやって、小脳内出血もやって、ステージで歌うのをやめると決めていたからね。 それにしても変だった。谷村君の顔を見たら、涙を流してるんだ。えっ、泣くことはないだろ? 俺はまだまだ元気だぞ──と言ってやろうと思った。 すると、やさしい声で言うんだよ。 「さようなら」 おいおいおい。おおげさ過ぎないか、と思った。でも、大勢の人が観ている24時間テレビのファイナルのステージだろ。よしよしと抱きしめた。 あのとき、谷村君は俺の身を案じたのではなかったんだな。今思えば自分の身体の状態をわかっていたんだろう。それで、最後の「サライ」を歌って泣いていた。別れの抱擁だったんだ。それを俺は察してあげられなかった。 最後の「サライ」は忘れられない歌唱になった‥‥


 谷村新司のコンサートには何度も行った。余り聴けなかったけど、『小さな肩に雨が降る』なんかとても好きで‥‥

 もう二度と彼の生の声が聴けないと想うと、やはり辛い。今まで有り難う‥‥

合掌