もっと調べてみると驚くべき事が判った。それは日本人としてのDNAが、脈々とそれを遺伝的にして来た訳では無いと言う事である。実はDNAでは無く、日本語が虫の音、風の音、川のせせらぎ等を聴き取らせている事実‥‥それも日本語の母音が、大きく影響しているのである。極論、外国人の赤ちゃんを母音を多く用いる日本語での環境下で育てれば虫の声は聴こえるし、逆のパターンとして日本人の赤ちゃんを例えば子音を多く用いる英語圏で育てたなら聴こえなくなる、と言う事である。これは東京医科歯科大学名誉教授、角田忠信博士の「日本人の脳の研究」で、しっかり書かれている。
 『はじめに言葉ありき』
 なんともまたしても恐ろしく世界が繋がりました。新約聖書「ヨハネによる福音書」第1章第1部という聖書の書き出しの部分が、
『はじめに言葉ありき』なのです。
話を戻して、

 京都嵐山の有名な|華厳寺《けごんじ》、今では『鈴虫寺』としての方が日本では、有名だが海外向けの小冊子では『騒音寺』と伝えられているこの事実。その『鈴虫寺』では、何千匹もの鈴虫が、一年中音色を奏でている。何故、ソレが聴こえないか、の方が僕にしたら不思議なのだが、左脳で捉える事が出来なければ、一年中鳴く何千匹もの鈴虫の音は彼らにはひたすらに迷惑な騒音でしか無いのかもしれない。然しながらそれでは、風情も風流もない‥‥当然、そう云う文化も発生しないのも至極なのである。
 すっかり|微温《ぬる》くなった缶コーヒーを飲み干した。僕はタバコを吸いたくなり、歩き出した。
 困ったことにカフェインはニコチンを求めてしまう。
灰皿を見つけ唯、僕はゆっくり紫煙をふかし秋空を見ながら、想い、そして祈った‥‥

 どうか、戦果の中に在る彼らに一日も早い、平穏なる時間の流れを、|喩《たと》えどんなに貧しくともこの国と同等の|時間《とき》の流れを一刻も早く、彼らに御与え下さい‥‥
何人《なにびと》にも生命の差別が無いので有れば‥‥ どうか‥‥
 神という存在が、ここに或るならば‥‥どうか‥‥早く|弥勒《みろく》の世に
               
                        祈