時事、その|徒然《つれづれ》なる想い
                       弦之介
 
 時は2023年、もう十一月も間近に迫ってる。早いもので、もう2ヶ月ちょっとで、今年も師走となり、新しい年となる。ついこの前までこの国の気象庁は夏日、真夏日、猛暑日、酷暑日、熱帯夜やらとは別の、もはやそれらを超越する新たな名称の必要性を迫られる程にとてもとても長く暑い、苦しいまでの烈夏がようやく意気消沈し、次の季節の到来を遠山にポツポツ色をつけ始め、秋の到来を告げていた。そして今では爽やかな風が街を流れている。が、喉元過ぎればで‥‥僕を含めて、殆どの人々には、もはやそう言えば暑かった夏‥‥しか残ってないのだが。
 そんな季節の移ろいを感じたくて僕は近くの公園の駐車場に車を停め、買い求めた冷えた缶コーヒーを手に歩き出した。
 今日のこの暖かな小春日和に誘われてか、ココには散策を愉しむ人々が思いの外、多く居た。『ギュッギュッ』音を立て小石を踏み締めながら歩いてると、時折に何処からか、金木犀の甘い香りが風に紛れて鼻腔を|仄《ほの》かに|擽《くすぐ》る。雑多なざわめきと、子どもの歓声、遠い犬の鳴き声‥
 公園から見上げる秋空には、雲一つなく
そして古城名残りの堀周りのススキや低床の|草叢《くさむら》の上に、久方振りに見る赤トンボ達が、飛び回る。それもかなりの数だ‥‥そして|草叢《くさむら》からは虫の鳴き声。全てが秋だった。