残念、どうも上手く飛べなかった。二度目、惜しかった、何が原因なのかなって、僕が首をかしげていると、

『元ちゃん、その三角巾から出て、ホープ君に抱いてもらったら、塔の先端に爪が引っかかるように』って、リッちゃん

『ああ、なるほど、そうだよね』って、僕。僕の心は、ちっとも落ち着いていないのかも

『元ちゃん、大丈夫だよ。そんなに、焦らなくて』って、アッちゃんが言ってくれた。

『地上の揺れは、少し落ち着いたみたい。今、メカニックから』って、エナジーさん

『元ちゃん、ここの空気も少し落ち着いた気がする。深く深呼吸して見て、きっと地球に僕らの、気持ちが伝わっていると思う』って、アッちゃん

僕とホープ君は、三度目に挑戦する前に、アッちゃんが言ったように、深い深呼吸を何度か繰り返して、地球の今の空気を体の隅々まで行き届かせた。

そして、僕は地球に話しかけた。

『お願い、自滅しないで。あなたの上にいる人たちのほとんどんは、良い人たちです。二つの地球が誕生した時に、あなたの上に人間も、誕生したんだから、彼らの蝋燭の炎を消さないで、あなたの思いを壊そうとしている人間は、ほんの一握りの人達なんだから。見ていたでしょ、さっきボタンを押そうとした人を、止める人もいるから。止め方に問題があったかもしれないけれど、取りあえず今回は回避できたし、止めた人は、きっと苦しんでいると思う。えーっと、十分に、苦しんでいますよ。だって、さっきのスクリーンで、止めた人は、泣いていたよ。だから、地軸を治させて、元の位置に戻させて』って、

僕の言葉を重なるようにホープ君も

『お願い、僕のとうさん、かあさん、おじさん、レッドホイズンの、モンスター達の気持ちを分かってください。お願いします』って、

『お願い、地球さん、みんなの蝋燭の炎を消さないで。そして、地球さんの蝋燭の炎も』って、愛ちゃんが

『みんなで、平和を創っていくから、自滅しないで』って、空君

『僕らは、天界に帰るけれど、地上の住民には、地球しかないんです。地上に人間だって、本当は平和を望んでいるんです』って、アッちゃん

『暴走する人間や国があっても、我慢する人間や国もあるんです。悔しい気持ちをじっと堪えて、平和を望んでいるんです。だから、壊れないで』って、リッちゃん

『あなたの上には、二つの地球の上には、多くの命が、数知れない無数の命が、だから・・・自滅しないで』って、エナジーさん

僕らの願いを聞いてもらえるかどうかは、分からないけれど、少しづつ揺れは落ち着いてきている。


        つづく




ボタンを押そうとしていた人が、突然、銃声とともに倒れた。

『撃たれた、誰かが撃った』って、アッちゃん

『うん、撃たれた』って、画面にかじりついていた、みんなも同時に言った。

『仲間割れになるの、それとも、ボタンを押そうとしていた人を止めようとして、撃ったの。理由は分かんないけれど、ボタンが押されなくて良かったんだよね。でも、撃たれた人、どうなったのかな』って、僕

『撃たれた人も、撃った人もスクリーンに出てこないな。しかし、最悪の結果は回避されたから、良かったんだよ。あのボタンは間違いなく原子爆弾、どこを狙っていたのかは、分からないけれど、もしボタンが押されたら、多くの何の罪のない人たちが、犠牲になっていたから。原爆で犠牲になったのは、日本だけでたくさんだ。どれほどの悲しみが・・・それは、その苦しみを味わった者にしか分からない、その苦しみは今も続いているし』って、隊長さんは、唇を噛み締めて言った。

みんな、黙ってしまった、何をどう言うといいのか、分からないから。

この映像が映し出されたとき、地球が泣いていたような気がした。そして、一発の銃声で、それは回避されたけれど、しばらくの間、地球は泣いていたと思う。

きっと、地球にとって、そんなことをしようとすること自体、そして、そんな地球自体にダメージを与えるようなものを作るってこと自体が、地球は悲しいんだと思う。

この静けさの、沈黙を、破ったのは、僕だった。僕は、何気なく、地軸に目が行ったんだ、そしたら、地軸が

『地軸が、地軸が揺れている』って、僕が叫んだ。

みんなが一斉に、地軸を見た

『ワー、揺れている』って、

『元ちゃん、元ちゃん、地上が、地上が大きく揺れている、地震が・・・』って、サブちゃんからのテレパシーが

『地上が、地震だ。急いで、地軸を元に戻さなければ』って、僕

『なんで、地震に、今の映像が原因なのか』って、隊長さん

『せっかく、モンスターが静かに眠りについたのに』って、リッちゃん

『そんなこと、今と言っている場合じゃないよ、元ちゃん、ホープ』って、エナジーさん

『早く、元ちゃん、赤ちゃんニャンコちゃんが』って、愛ちゃん

『うん、そうだね、そうだね』って、僕は、落ち着け、落ち着けって自分に言い聞かせた。ホープ君の心の中からも、僕と同じように、自分に落ち着けって、言っているのが聞こえてきた。

『もう、全部のスクリーンを、見ている余裕はないよ、ホープ君』って、僕は言うと

『うん、元ちゃん、僕が抱いていても、飛べる』って、聞いてきた。

『勿論、出来ないことでも、やるよ、僕。地軸の塔の先端だよね』って、僕

『あそこに、間違いないよね』って、ホープ君

『僕も、そう思う。飛ぶよ』って、僕は、言い終わる前に、地軸の塔を目がけて飛んだ。


          つづく



『さあ、急ごう。地球が、これ以上悲しまないうちに、地軸を元に戻さなきゃ』って、僕は、みんなに言った、そして、僕自身にも

『愛ちゃん、ちゃんと見れないよ』って、泣きながら言ったので

『ここのスクリーンに映し出されている全ての映像を、僕らがちゃんと見なければ、誰が見る。愛ちゃん、そうでしょ』って、僕が言うと

『そうだね、あの子は、地上にいたときの愛ちゃんだものね。あの子のお母さんは、愛ちゃんのお母さんと同じように、あの子を育てるのを止めたんだ。そんなのなくさなきゃ駄目だよね』って、愛ちゃんがスクリーンを、じっと見て言った。

『早く来て、こっちのスクリーン、見て』って、空君が、焦りながら叫んだ。

『どうしたの、何が映っているの』って、ホープ君が空君の見ているスクリーンに着くと、そのスクリーンに中では、亡くなっている人がいっぱい映っている。手が吹き飛ばされている人、足が吹き飛ばされている人、内臓が破裂している人、頭から何は出ている人。生きている人も、自分の足が無くなっているのに気が付かずに、一生懸命に足の付け根を動かしていたり、目が血で見えなくなっていて、物にぶつかって倒れる人。そこら中が、血の海になっている、映像なのに血の臭いがして来そうな気にさせられる。もしかしたら、血の臭いがしているのかもって、思わせられた。

『うぇ、酷い』って、ホープ君が

『可哀相』って、愛ちゃん

『これは、爆撃された後だ。酷い、これが戦争だ。今も、この地球の中のどこかの国で、この映像と同じ頃が、繰り返されているんだ。何の罪もない多くの人達が、犠牲になっている』って、隊長さん

『これ、不味い、早いところ何とかしなくては、この人ボタンを押そうとしている』って、青い顔をして、エナジーさんが

『ボタン』って、低いけれど上ずった声で言った。

『ボタンって、まさか、嘘でしょ』って、僕は言いながら、エナジーさんが見ているスクリーンを覗くと、そこでは、ひとりの男の人が、ボタンを押すか押すまいか、悩んでいるように見える。

『何のボタンなの。えっ、まさか、まさかでしょ』って、僕

『間違いないよ。僕、こんな場面を映画で見たことがことがある』って、空君

『このスクリーンの映像って、もう済んでしまったことなのかな。これからなら、急ぐと間に合うんじゃないの』って、リッちゃんが言った、次の瞬間・・・


          つづく