『この国の大人たちは、子供を守らないの』って、愛ちゃん

『多分、ずっと以前は、守ろうって思っていたんじゃないのかな、きっと今も。ただ、方法が分からなくなって、偉い人間って言うか、力を持った人間の言うことを聞いている方が、いいんじゃないかって思うようになった。その方が、楽だからね。その代わり、自分たちの未来と子供たちの未来を、捨ててしまったっていうことじゃないのかな』って、隊長さんが冷静に言う

『未来を捨てるっていうことは、僕には、明日がないっていうような気がするんだけれど。それでも、偉い人達の言うなりになっているって、普通じゃないけど、マインドコントロールって、難しいんだよね。さっき見た人たちって、目が死んでいたよね。どうやって、目を覚まさせようか』って、僕が言うと

『死んでしまった赤ちゃんをおんぶしていても、何も気づかないで黙々と、仕事を続けているような人達に、生気を取り戻させるって・・・』って、リッちゃん

『この国の人たち、心が無くなっているんだ。なんか、どこかに忘れてきたみたいに』って、ホープ君

『どこかに忘れてきたんじゃなくて、心を取られたの』って、フューチャーちゃん

『誰に』って、一斉にみんなが、フューチャーちゃんを見て、言うと

『この国の国王に。でも、国王って言っても、この国、本当は、王朝国家じゃなかったんだ。それがいつの間にか、国王っていうのが現れて、それから、この国は、どんどん貧しい国に、いや、本当は、この国は貧しくはないはずなんだけれど』って、おとうさんが

『それってどういうことです』って、ストーンさん

『この国は、資源が豊富なんです。採掘だってしているし、それが、どこかに流れていくんです。だから、どんなに国民が、頑張っても、我慢しても、豊かにならない。でも、国王やその周りの一握りは、豊かなの』って、お母さん

『だから、この国の人たちを、国王から解放してあげて』って、フューチャーちゃん

『この国の人たちの、心を取り戻してあげるんだよね』って、愛ちゃん

『そうだよ、僕ら、この国の子供たちの未来を、取り戻してあげなっくちゃ』って、空君

『私たちは、生まれながらに戦うことが出来ない、そして、手を貸すことも出来ない。ただ、見ていることしか出来なかった、ずっと、待っていたんです。私たちは、皆さんが来るのに合せて、目を覚ましたんだと思う。そして、この国の悪の巣を、捜していました』って、お父さんが、段々と確信に触れてきた。


      つづく





『食糧のことも気になるんだけれど、死刑になった少年って、いったいどんな悪いことをしたって言うの。僕には、納得行かない』って、僕が言うと、みんなも、僕と同じように、

『そうだよ。何も悪いことしていないよ、その少年』って、

『おそらく、反逆罪とでもなるのかな、平和を乱すとか』って、隊長さん

『この国は、理不尽なことが、まかり通る国なんだ』って、赤い地球人のお父さん

『あの、その少年の両親は、黙っていたのかしら』って、エンジェルさん

『黙っている親なんかいないだろう』って、ストーンさん

『それが、その少年には両親がいなかったの。もうすでに、亡くなっていたそうよ。そうでしょ、猫ちゃん』って、赤い地球人のお母さん

『そうなんだ、その少年が、まだ小さい時にお父さんもお母さんも、山で何かを採掘する仕事をしていて、事故で亡くなったんだ。それで、少年は孤児になってしまった。この国には、そんな子供がいっぱいいるんだ。そして、この国には、そういう子たちの施設がないから、良く言えば、その子たちは、自立することになる。どういうことか分かる、3、4歳の子の自立って、お腹が空いても食べ物がないから、口に入るものなら何でも、食べるって、少年が可愛がっていた猫さんが話していた。一日でも長く生きるって、サバイバルなんだって。それでも、その少年は、小さな子供から少年になるまで生きていたんだ。何でもしたって、生きてのびるために、盗みも、人を脅したりも、自分のことを売ったりもしたって、この国には、一握りのお金持ちもいて、その中にはいろいろな趣味の人間もいるんだって』って、猫さん

『あっ、その時、他にも死刑になった子供たちがいたって、話していた犬さんがいた。確か、その少年から、猫さんの話しを聞いて、騒いだらしいんだ。立ち上がろうって、偉い人達と戦うぞって。そしたら、死刑になってしまって、もう、誰も騒がなくなったんだ。じっと、言われたとおりにしていようって』って、犬さん

『どうして、ここに入れてあげないの』って、愛ちゃん

『入れることも、私たちの作った食糧を分けることも簡単だけど、それじゃあ、この国は、何も変わらないんです。自分達で、生きていくための道を切り開かなくては、戦わなくては』って、赤い地球人のお父さん

『赤い地球人は、戦わないんだと思っていたけど』って、空君が言うと

『私たちは戦わない。でも、この国の大人は、戦わなくてはいけない。子供たちの未来のために、悪魔と戦わなくてはいけない。この国の宝物を、独り占めしている悪魔と』って、フューチャーちゃんが

『悪魔』って、僕らが言うと

『そう、悪魔』って、フューチャーちゃん親子と、赤い毛の猫さんと犬さんも言った。


     つづく






『犬さんと猫さんの変装って』って、聞くと思った愛ちゃんが

『この赤い毛の色は、どう見ても目立ちすぎるから、お母さんが毛を染めてくれるんだ、だから天気のいい日なら、バリアから出て国の中を、歩き回ることが出来るんだけれど、今は雨が降り続いていて、そう簡単に外に出ることが出来ないんだ。だから、ここ何日かのことは、全然分からないんだ』って、猫さん

『ただ、この国は、以前から食べ物は、不足していたよ。僕らが、国の中を歩き回っている時も、何人も人達が亡くなっているの見ているから。それで、この国の猫や犬に、何度も聞いたんだ。この国の人達は、どうして自分たちの暮らしを変えようとしないのって、なんで、じっと蝋燭の炎が消えるのを待っているのって』って、犬さん

『そうしたら、何て、答えたの』って、僕らは、身を乗り出した。

『僕らが話した猫さんや犬さんは、あんたたちの言うことが正しいのは分かっているよ。でも、この国の国民は、コントロールされているから、僕らの言うことなんかには耳を貸さないっていうか、自分達は、人間の言葉が話せない、だから、見ているだけしか出来ない。あんたたちは、人間の言葉が話せるのかって、逆に聞かれたりして』って、猫さん。

そして、猫さんが何かを思い出した見たいに、

『ああ、でも、一匹だけ、ほら、犬君、いただろ、人間と話が出来るって言っていた猫さん』って、猫さん

『でも、その猫さん、人間と話せると言っていたけれど、時々餌をくれる少年とだけって、他の人間とは話せないってそれに・・・』って、犬さん

『そうだった。けど、その子は、その猫さんといろんな話をしていたらしい。その猫さん、この国だけじゃなくて、他所の国に住んでいたことがあるって、だから、その少年に、他所の国の話をしていたって、ああ、言いづらいんだけれど、その少年は、死刑になったんだ。猫さんから聞いた話を、何人かに話したっていうことで』って、猫さん

『なんてことを、』って、隊長さん

『多分、この国の中は、この雨で僕らが知っているのよりも、もっと酷くなっていると思う』って、悲しそうに犬さん

『ここの猫さんや犬さんも、随分酷い暮らしをしているから』って、犬さん

『ここの生き物は、みんなそうだ。特に牛さんは、気の毒だ。それから、この国には、蛇がいないんだ、みんな食べてしまうから』って、猫さん

『この国は、友達の国がないから、自給自足になるんだよね』って、ストーンさん

『その自給自足が問題なんだ』って、犬さん

『そう、実る前に、刈ってしまうから』って、猫さん

『それだけ、食べるものがないってこと』って、リッちゃん

リッちゃんのその言葉に、猫さんと犬さんが、大きくうなづいた。


       つづく