悪魔の国王の熱い視線は、豪雨の中でも、もの凄い威力がある。僕は、そんな暴雨の中、必死で熱い視線をかわしながら、逃げ回らなければいけなかった。
濡れねずみじゃなくて、濡れ猫、これで泡だっていたら、地上の住民だった頃の、月に一度のシャンプーって感じ、まあ、この時は、そんなことを思う余裕は、なかったんだけれど。
とにかく、僕は、何とか体勢を、整えて液体窒素で、反撃したいんだけれど、悪魔の国王とは、目を合わせちゃいけない、そうすると正面からの反撃が出来ない。
逃げ回りながらだと、なかなかいいアイディアが浮かばない。ああ、どうしようって思っていたときに、さかなさんが、
『元気さん、一度、海の中に入って』って、言ったんだ。
そうか、海の中までは、悪魔の熱い視線は、届かない。
『さかなさん、ありがとう』って、僕は、言うなり、ざぶんって海の中に、入った。
海の中での呼吸は、さかなさんたちが交代で、僕に酸素を口移ししてくれたんで、全然問題がなかった。
海の中に入った、僕を見て
『なんて、猫だ。猫は、水が苦手のはずだが』って、つぶやいた。
そして、その瞬間だけ、気をゆるめたらしく、熱い視線が消えた。僕は、今だって思って、海から飛び出て、悪魔の目を目がけて、大きく口を開けて液体窒素を噴射した。
僕の噴射した液体窒素は、白い煙を立てながら、悪魔の国王の目に、思いきり吹きかかった。
その瞬間、悪魔の国王は、両目に手を当てて、かがみこんだ。
『熱い、ウウウ、熱い。な、なんだ』って、叫んだ。そして、次の瞬間、顔を下に向け、手で押さえていた目を、降りしきる雨で冷そうとしたらしく、天を仰いだ。
天を仰いで、雨で焼けた目を冷そうと思ったことは、多分、間違いではなかったと思う。ただ、この豪雨は、地球が、悪魔のしていることに、怒って降らせている雨だってことを、悪魔の国王が自覚していなかったから、それは、それは、痛い思いをしたみたいだ。何しろ、半端ではない豪雨なのだから、雨粒だって大きい、それが焼けど状態になった目に、当たるんだから、痛くないはずが無い。
もし、仮に、悪魔の国王が、目を冷すために海の中に、飛び込んできたとしても、やっぱり、塩水で痛い思いをしたんだと思う。そして、何より、海も地球の一部だから、どちらを選んだとしても、悲惨な結果には、変わりはなかったんだと思う。
でも、悪魔は、悪魔の力を持っていて、その回復力は、凄く早かった。
つづく