『母猫さんは、国王に会ったの』って、リッちゃんが聞いた。

『いいえ、私も父猫も国王には、会っていません。国王は、私たち猫や犬になんか、会ったりしません。国王は、私たちのことを、道具としか思ったいないのでは、一匹が居なくなったら、次の一匹を連れてくればいいって、そして、それが居なくなったら、次の生き物、それが人間。私は、お腹に赤ちゃんが居たから、他の仲間よりも優遇されたの。どうしてか分かる、それは、私のお腹の中には、道具が入っているってことなの。えーと、雨が降り始める前日だったわ、確か、国王のところに行っていると思っていた猫さんが、傷だらけになって脱走してきたの。そう、脱走でいいのよね』って、母猫さん

母猫さんの言った、道具っていうことには、誰も触れなかった、触れるのが躊躇われたから、ただ、愛ちゃんだけが

『道具、道具って何よ、赤ちゃんのことなの、そんなの酷い、許せない』って、心の中で叫んでいた。

『どこから、脱走してきたの、国王のところには、居なかったんだよね』って、ホープ君

『地下室から』って、母猫さん

『城には、地下室があるんだ。それで、その猫さんは、地下室で何をしていたの』って、アッちゃん

『それが、分からないの。その猫さんは、ここは地獄だから、早く逃げろって、それだけ言うと・・・』って言った、母猫さんは、嗚咽した。

きっと、その猫さんの蝋燭の炎は、消えてしまったっていうことなんだって、母猫さんが最後まで言わなくても、みんなには十分に伝わった。

『私たちは、とにかく誰にも見つからないように、その猫さんを土にかえすことにしたの。必死だった、そしてその時、私たちは思い出したの、お城に行ってはいけないって、言っていた猫さんのことを。何とか、無事に、猫さんを土にかえして、ほっとして間もなくだった、私たちのことを可愛がっていてくれた人間が、猫さんのことを捜しにきたの。それは、恐ろしい形相で、きっとその顔が、その人間の本当の顔だったんだと思う。私たちは、知らないって言ったの、でもね、私たちの、手に、足に、顔に、体に、土が付いていたの。嘘は、バレバレで、私たちは、優しかったと思っていた人間に、抱かれるのではなく、首根っこを捕まれて、嘘なんかつきやがってって言われながら、地面に叩きつけられたの。その時、父猫は、私と私のお腹の中の赤ちゃんたちをかばって、私の下敷きになって、下敷きになって、それでも大きな声で逃げろって、赤ちゃんを死なせるなって、そして、人間の足に噛み付いたの。私は、逃げた、後ろを振り向いて父猫のことを見たい気持ちを堪えて、走ったの、必死で走った。どうやって、お城の塀をよじ登ったのかは、覚えてないけれど、最後に聞いた父猫の泣き声だけは、今でも私の耳に残っている。それから、どうやって赤ちゃんニャンコたちを、生んだのかも覚えていないの。気が付いたら、三匹の赤ちゃんニャンコが、私のおっぱいを吸っていた。最初は、ミルクが出ていたけれど、何も食べていないから、ミルクが出なくなるのも時間の問題だったわ。もう駄目だと思ったときに、みなさんに助けられたの』って、母猫さん


        つづく