僕は、父猫さんのことも気になったんだけれど、母猫さんの言った、生まれてくる赤ちゃんニャンコたちの命が、城の中にいては危険だから、同じ危険なら城の外の方が、もしかしたら生き延びることが出来るかもっていうのが、もの凄く気になったので、そのことを聞くと、母猫さんは、泣きながら深呼吸をして、気持ちを落ち着かせて、ときどき泣き出しそうになるのを、堪えながら話しはじめた。

『私に、お城から、逃げ出すようにと言ったのは、赤ちゃんニャンコたちの父親です。私たちは、お城の外にいるときから、ずっと一緒でした。私たち二匹とも、生まれたときから、野良猫で二匹とも親を知りません。多分、この国は、貧しい国なので、私たちの親は、自分たちが夫々食べて行くので、いっぱいいっぱいだったんだと思います。それは、私たち猫だけじゃなく、犬も、人間も。この国には、親のいない子供たちが、大勢いるんです。でも、私、聞いたことがあるんです。もう亡くなってしまったんですけれど、私たちのことを、可愛がってくれていた長老の猫さんがいて、その猫さんが話していたのは、この国は、昔から、決して裕福な国ではなかったけれど、みんな幸せだったって。その人間も、動物も、生き物は、みんな幸せだったって。人間の家で、猫や犬や鳥なんかも、飼われていて可愛がられていたって。ああ、親のいない子も、滅多にいなかったって、聞いたわ。私は、見たことがないけれど、蛇って言う生き物もいたって、その生き物は、今は、みんな人間が食べてしまったので、この国には、いないって言っていた。そして、猫さんが亡くなる時に、私たちは言われたの、どんなに苦しくても、城に行ってはいけないって。あの城は、恐ろしいところだからって。そして、城には、悪魔が住んでいるって。みんな、自分のいうことを信じないで、城に行くけれど、誰も帰って来ないって。城に悪魔が住みついてから、この国の人間は、かわってしまったって』

『でも、母猫さんたちは、城の中に行っちゃったんだ』って、アッちゃん

『ええ、どうしても食べるものがなくて、そんなときに、お城の人間に声をかけられたの。可哀そうに、お腹が空いているんだねって言って、何度か、餌を持ってきてくれて、私たちのこと、抱いてくれたりして、初めて人間に抱かれたの、なんだか嬉しくなったの、私たち、おかしでしょ』って、声を詰らせながら言った。


       つづく