僕らが地上に出発する時、ワーグナーさんがワルキューレの騎行を演奏してくれた。この曲は、なんか力が出てくるなって、思った。僕は、リッちゃんやお母さんにも、生の演奏を聴かせてあげたいな、新世界も目茶苦茶良かったしって。あっ、そっか、リッちゃんもお母さんも、ずっとずっと、生の演奏なんか聴けないほうがいいのかって、なんだか複雑だって、僕は思った。

そして、言葉を交わすことのなかった猫のお父さんとお母さんが、僕のところ来て

『気をつけて行くんだよ。地上の仲間達が、幸せになれるように、安心して暮らせるように、力を尽くすんだよ。私たちは、ここからみんなが、無事に帰ってくることを祈っていますよ。そして、アルフさん、空君、愛ちゃん、元気のこと宜しくお願いします』って、みんなに言った。

愛ちゃんのお母さんも、アッちゃんの犬のお父さんとお母さんも、駆け寄って来て、

『気をつけて行くんだよ。無事に帰ってくることを祈っているから』って、

そして、みんなのお母さんたちが空君にも

『空君、気をつけてね』って、当然、僕のお母さんとアッちゃんのお母さんは、ペロペロって舐めた。

僕らは、天界のみんなに見送られて、地上の星のお墓に向って出発した。勿論、アッちゃんの背中に、僕を抱きかかえた愛ちゃん、そしてその後ろに空君が乗っかって、最初に地上に向った時に比べると、なんとなく早く感じられる。きっと、それはアッちゃんが移動することに慣れて、スピードを出せるようになったんだと思う。

『元ちゃん、リッちゃんからの言伝があるんだ。ほら、僕らがずっとお世話になっていた、動物病院が建て替えてきれいになったんだって、そしてね、元ちゃんに輸血してくれた猫さんは、病院の看護婦さんの家の子になったんだって、いっぱい可愛がられているって』って、アッちゃん

『えっ、ほんとうなの。病院が新しくなったのより、あの黒猫さんが、看護婦さんの家の子になったんだ。なんか、嬉しいな』って、僕

『明るいニュース』って、愛ちゃんが嬉しそうに

『いいニュースなら、他にもあるよ』って、空君が

『他にも、何かあった』って、愛ちゃんが

『愛ちゃんだって、一緒に見てたじゃないか。僕らが、これから行く星のお墓、いつもきれいに掃除がされていて、飲み物やドッグフードやキャットフードに、花、玩具やおやつもいっぱい、供えられているって。それに、星になったみんなに、話しかけてくれている。そうそう、悪いことばかりじゃないよ』って、空君

『そう、悪いことばかりじゃない。捨てられた子達を、保護して育ててくれる人も、いっぱいいる。それは、人間の子供達にも言えるから』って、アッちゃん

『でも、元ちゃん、見ちゃったんでしょ。暗闇の中で』って、愛ちゃん

『うん、愛ちゃんや空君には、見せたくない。さっき、天界で見たのよりも、僕が見たのは、悲惨だったから、全てが・・・』って、僕

『ねぇ、じゃ、災害も前よりも酷かった。あの、ゲリラ豪雨よりも』って、空君

『うん、前の時は、大きな地震はなかったけれど、闇の中ではあった。でも、そういうのを、僕らは防ぎに行くんだから』って、僕が言うと

『そうさ、僕らは、防ぎに行くんだ。地上のみんなを守りに行くんだから。もっと、明るく』って、アッちゃんが


        つづく


パンチ! 個人攻撃とか、する気はないんだけれど、あの高校野球の監督の謝罪会見って、なんか・・・あんな感じで、一生懸命にプレーして負けた自分の教え子にも、きっと言ったんだろうなって、思ってしまった。勝者にも敗者にも、失礼なこと。