お婆ちゃんが
『先生は、なんって』って、お爺ちゃんに聞くと
『なにって、なんだ、最近も釣りに行っているのかって。先生も、釣りが好きだから。ああ、さつき、お菓子を貰ってきたぞ』って、
お婆ちゃんは、きっと先生が、お婆ちゃんの病気について話していたんだって思った、だから本当は何を聞いてきたのかを知りたかったんだけれど、お爺ちゃんの口は堅かった。まあ、お婆ちゃんも、あえてそれ以上聞くことは、止めにしたみたいだけれど。
さつきちゃんは、そのお爺ちゃんとお婆ちゃんの様子から、ああ、そうだったんだって気が付いた。そして、お爺ちゃんの嘘のつき方が、なんて下手なんだろうって、さつきちゃんにだって見破られてしまう嘘なんだから、お婆ちゃんは、話を聞かなくても全て分かってしまったみたいだ。
気まずい空気が、病室中に漂ってしまった、三人とも心の中でなんとかしなくては、この空気を換えなくてはって、思っていたところに、トントンってドアがノックされて、ガンちゃんのおばさんとたっちゃんのおばさんが
『お婆ちゃん、どう』って、入ってきた。
おばさんたちが、来てくれたおかげで嫌な空気が換わった。そして、おばさんたちの第一声も
『あら、さつきちゃん、やっぱりいいわね。三つ編み』って、
『今、お婆ちゃんに編んでもらったの、自分じゃ、上手くできなくて』って、さつきちゃんが言うと、おばさんたちは、ニッコリとして
『お婆ちゃん、随分顔を色がよくなった』って、本当は、二人も、たまたま偶然にお爺ちゃんが、孝ちゃんのおじさんと話をする時に、お婆ちゃんのお見舞いに病院に入って来たところ、お爺ちゃんと会ったので、お爺ちゃんに一緒におじさんの話しを聞いて欲しいって頼まれたみたいだ。どうやら、お爺ちゃんは、一人で話を聞くのが怖かったらしく、まあ、話の内容からすると、おばさんたちが、付いていてくれて良かったみたいだ。どうも、お爺ちゃんは、病室に戻ってくる前に、おばさんたちの前で、ひとしきり泣いてから、本当に一服して病室に戻ったらしい。
お爺ちゃん、病室に戻った時には、そんな素振りは見せなかったのに、おばさんたちに随分励まされたらしい。
それで、時間差で、お爺ちゃんと少しずらして来たんだ。だから、おばさんたちは、お婆ちゃんの具合のこと色々と知っていたんだけど、何事もなかったかのように、振舞っていたおばさんたちについて、大人はすごいって、さつきちゃんは随分後に、知ることになる。
つづく