そんな厳しい冬を乗り越えるために、漬ける漬物、それから秋から冬にっていう時に、土の中に野菜を埋めていた。

で、漬物なんだけれど、お爺ちゃんが、漬物の漬け方を知っているなんて思ってもいなかったし、尚且つ漬物を漬けていたなんて、さつきちゃんは全く知らなかったし、想像もつかなかったし、何の疑いもなく、いつも通りにお婆ちゃんが漬けているのだと思っていた。

だって、お婆ちゃんの味がしていたから、まぁ、お婆ちゃんが横にいて、厳しく指導していたんだろうけれど、そして、食事時になると、漬物だるからさつきちゃんが、お婆ちゃんに言われて、ボールに出してくる、と、お婆ちゃんはそれを切って食卓に。

お爺ちゃんの影は全くなかった。お爺ちゃんが漬けていたことを知るのは、お婆ちゃんが亡くなってからのことだった。

だから、お爺ちゃんは、お婆ちゃんが亡くなる前の2年か3年は、漬物を漬けていたことになる。もう、お婆ちゃん、どうせだったら、さつきちゃんに教えてくれるとよかったのに。

ああ、それでも、さつきちゃんの幼い頃の記憶中には、漬物を漬ける時にお婆ちゃんの横で、手伝いをしていたのを微かに覚えている。泥のついた大根を洗うのや、洗い終わった大根を干すのや、白菜を白菜はどうしたのかな、とにかく手伝っていたと思う、もしかしたら邪魔をしていたのかもしれないけれど。

お婆ちゃんの体のことは、孝ちゃんのおじさんもおばさんも、十分に承知していた。手術をした病院の先生から、おじさんのとこには報告が来ていたので、だから、孝ちゃんのおじさんは、何気にお婆ちゃんのところに

『近所まで、往診に来たから、ちょっと寄って見たんだけれど、調子はどうです』って、寄ってくれていた。

だから、ガンちゃんのおばさんが、孝ちゃんのおばさんに、お婆ちゃんのことをたずねた時、孝ちゃんのおばさんは困ったらしい、本当のことは言えないわけだから。

それでもさすがに、孝ちゃんのおばさんに

『患者さんのことだから、言えないの分かるけど、さつきちゃんのことは、ほおっておけないでしょ。お爺ちゃんは、どうなの』って聞くと

『そりゃ、さつきちゃんのことは私だって。お爺ちゃんは、覚悟を決めているから。お婆ちゃんも、うすうす感づいているみたいだって。もう、ガンちゃんのお母さんには、敵わない。お父さんに叱られてしまう』って、そして

『さつきちゃんには、上手いこと言ってよ。まだまだ、子供なんだから』って、孝ちゃんのおばさん

『この度は、私が悩む番』って、ガンちゃんのおばさん


        つづく