リッちゃんがアッちゃんにテレパシーで

『もう、院長さんのネットワークのチャンネルは完全に閉じられた』って、聞いてきた

『ああ、閉じられたよ。天ちゃんとは、さっきまでのチャンネルとは違うから』っていう、アッちゃんからの答えに

『間違えないよね』って、リッちゃんが念を押してきた

『間違えないよ、どうしたの。何かみんなに聞かれては、不味いことなの』って、アッちゃん

『うん、さっきの話の続きなんだ』って、リッちゃんが。

リッちゃんからのテレパシーは、院長さんにも、天ちゃんにも聞こえているんだけれど、人間の空君と愛ちゃんには聞こえないので、アッちゃんが二人に話す。

『あの虐待の話』って、アッちゃんが聞くと

『そう、元ちゃんの心の中が少しだけ本当に少しだけなんだけれど、僕に見えるんだけれど。その見えているのが、虐待されている僕らの仲間なんだ。見たことも会ったこともない仲間なんだけれど、それが人間に虐待されているだけじゃなくて、なんか仲間なのか親なのか分からないんだけれど、胸が痛くなるような悲しい光景なんだ。元ちゃんあのトーテムポールの中で、モンスターと戦っただけじゃなくて、いろいろなものも見たみたいだよ。僕に全部が見えてきているわけではないけれど』って、リッちゃん、それをアッちゃんは、空君と愛ちゃんに話す。

虐待って言葉に、愛ちゃんはピックって体を反応させる。愛ちゃんにとっては、殴られたり蹴られたりっていうことは、それが無かったというのではなく、あまりに小さいころのことすぎて記憶に残っていないんだけれど、食べ物をあまり与えてもらえなかったり、外にでることもなくほとんど毎日を蝋燭の炎が消えるのを待っているだけだったころを、自分が何者なのかも名前すら呼んでくれる人もいなかったころを思い出してしまっていた。そして、頭を振りながら

『今の愛ちゃんは違う、そして愛ちゃんのお母さんも変わった。虐待はけない。虐待はされる方もする方も地獄なんだけから』って、

空君が愛ちゃんの手をギュッと握った。アッちゃんが愛ちゃんの横についた。

『そうですか、愛ちゃん。大変でしたね』って、周り温かく包むような優しい声で院長さんが言った。なんか、それだけの言葉なんだけれど、救われた気持ちにさせられた。

『その、それって動物だけなの』って、空君が言葉を選びながら聞いた

『ああ、違うみたいだ』って、リッちゃんの答え、それを空君と愛ちゃんに伝えていいものか、アッちゃんと院長さんは顔を見合わせた。

『いいよ、隠さなくても。愛ちゃんも、少しだけ見ていたのを、今、思い出したから。でも、あれは現実じゃないかもしれないから、幻かもしれない』って、愛ちゃん

『愛ちゃんお姉ちゃんたち、外が暗くなった来たよ』って、天ちゃんの声が

その声で、院長さんが

『もしそれが、この先に起きることなら、一刻も早く元ちゃんさんに元気になってもらわなくては、それまで何も起きない事を祈るしかありません。さあ、早く』って、

三人は、院長さんと天ちゃんに別れを告げて、僕とリッちゃんの待つ家に帰ってきた。結局、空君はお母さんのブローチを着けてきただけで、お母さんの作った夕飯は口に出来なかった。けど、空君の家では、お姉さんが帰って来て、お父さんが帰って来て、そしてお母さんと三人が食卓に着いたとき、同時に写真の空君の洋服に、今朝までは着いていなかった、お母さんの大好きなブローチが着いていることを発見する。三人は、空君の写真に

『お帰り、空』って


                続きはまた天使