優希ちゃんに、『これからは、ずっと一緒だよ』っていわれた優さん。

優さんは、本当に優希ちゃんのことを信じてずっとあの約束のリボンを付けて、優希ちゃんが迎えに来てくれることを待っていたんだけれど、あー違う待っていたんだ。ただ時が流れて行くってことは、その時の流れの中に色々なことが起こるわけで、良い事も、悪いことも、嬉しいことも、悲しいことも、別れも、出会いも。そういうのってみんな人間の社会だけって思っているかもしれないけれど、僕ら猫、犬やどんな動物にもこの世の中に生を受けたものは、みんな決して平等とは言わないけれど、持たされているんだ。

でさ、優さんの場合もいろんなことがあったわけで、取り分け優さんにとっては、まるちゃんとの出会いが優希ちゃんと離れ離れになってからの、一番の出会いだった。だから、優希ちゃんや優希ちゃんのお父さんやお母さんが、言ってくれたように優希ちゃんの家族になるのが良いのか、ここに残ってまるちゃんやまるちゃんのお婆さんやみんなと一緒が良いのか、分からなくなっていたんだ。

みんなは

『優さん、良かったね。野良猫、卒業だね』って、心から喜んで言ってくれる。

まるちゃんのお婆さんは

『優のことを宜しくお願いします』って、優希ちゃんのお父さんやお母さんに、そして優希ちゃんには

『優は、ずっと優希ちゃんの飼い猫だったよ。誰が何と言おうとずっと優希ちゃんを忘れずに、あのリボンを離さずにいたんだよ。可愛がってあげてね』って、

『うん、分かっているよ。私、ずっと優ちゃんのこと可愛がる』って、優希ちゃんはまるちゃんのお婆ちゃんに言って、そしてお父さんとお母さんの方を向いて

『ねえ、お願いがあるの。優ちゃんのお友達とお婆ちゃん猫さんも、一緒に飼っちゃ駄目。優ちゃんだけ連れて帰るの、可哀そう』って、

優希ちゃんのお父さんとお母さんは、顔を見合わせてニッコリ笑って

『そう言うと思っていた』って、許してくれた。

ただし、まるちゃんのお婆さんは

『とてもありがたい話なんだけれど、私がここを離れるわけにはいかないんです。ほら、あそこに居る長老猫が私がいなくなると淋しがるので。どうか、まるだけを連れて行ってください。まる、そうしてもらいなさい。優には、優希ちゃんとまるが必要だから。ねえ、長老』って、まるちゃんのお婆さんが言うと、長老猫さんは

『わしは、淋しくないぞ。まる婆、良いのか、ここに残って』って、少し照れくさそう。

『まる、優のことを大事にして、優希ちゃんや優希ちゃんのお父さんやお母さんに、可愛がってもらうんだよ。そして、ここでの暮らしを誇りに思って、違う土地に行っても誇りを忘れちゃ駄目だよ。さあ、ちゃんと挨拶をするんだよ』って、まるちゃんのお婆さんが言うと、まるちゃんはお婆ちゃんの目を見て

『お婆ちゃん』って一言言ったきりで、次の言葉が出てこなかった。でも、まるちゃんとお婆ちゃんの間では、その一言だけで、全てが通じ合っていた。


         続きはまた天使