今思うと、愛ちゃんは小さな体でかなりメタボな僕を抱きかかえての、脱出は結構大変だったんだろうと思う。僕が、そのことを聞くと愛ちゃんも、ゲーム機の外で見ていたみんなも、なんとく顔をがニャ付いているように見えるんだけれど、誰も何も教えてくれなかった。この事は後から、笑い話のように話してくれるとこになったんだけれど、今は僕の中で、もやもやとしている。
僕を抱えた愛ちゃんは、後ろを振り返ることなく正面の明るい輝きだけを目指しゲーム機の外の出口に向かったんだ。
ゲーム機から、最初に出てきたのは僕の後ろ足からだったんだって、それからズズズッて僕はゲーム機から出てきたんだって、そして本当に最後に愛ちゃんが出てきたんだ。
不思議なことに、僕らが全員ゲーム機の中から出てきた時には、あっちこっちに咲いていたレッドポイズンは、完璧に影も形も跡形も無く消えていたんだ。要するに僕らが何も手を加えなくても、以前の公園に以前の町に戻っていたんだ。
ただ、それまでに星になってしまったみんなは、元に戻ることは出来なかったんだ。僕らには、例え蝋燭がたくさん残っていても、消えてしまった蝋燭にまた炎を点けることは、出来ないから。
そう、順を追って話していくと、隊長さんの本部の僕らが会議室に閉じ込めた隊長さんの、上司のモンスターの化身になっていた人は、レッドポイズンの毒で亡くなった、みんなの症状と同じ症状で亡くなっていたんだ。他に会議室に閉じ込めていた人たちは、この間の記憶が消えている状態でって言うか、みんな寝ている状態で発見されたんだ。これは、ちょっと問題になったらしい。だって、大変なことが起きている時に、寝ていてはまずいよね。それに亡くなっている人もいたわけだし。
そして、この本部に連れて来られていた少年達も、レッドポイズンが消えていくのと比例するように変化していき、顔も別人って思えるくらいにとはオバーだけど、心の中が変わったっていうのが分かるように見えたって、アッちゃんが教えてくれた。それと、この少年達の中には、親指にレッドポイズンの水に濡れると出てくるタトゥーがある子たちがいたんだけれど、これもすっかり消えていた。
この少年達とゲーム機の中の少年達は、意識がはっきりとした時点で取り調べってところまでは行かないけれど、色々な事を聞かれることになったんだけれど、全員が記憶が消えていたんだ。この記憶が消えていたことは、良い事もあったんだというのは、この少年達、基本はちょっと危なげな子達だったんだけれど、その記憶も消えていたんだ。そして、凄くいいことはね、お年寄りのことを覚えていたんだ。このことは、お爺さんやお婆さんを、とっても喜ばせたんだ。全てが落ち着いて、平穏な日を送ることが出来るようになった頃、この少年達は誰に言われることも無く、花の村のお爺さんやお婆さんたちを尋ねるようになっていたんだ。
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