僕の大きな声の返事に、愛ちゃんの幻聴が

『分かんないよ、元ちゃんどこ』って、答えが帰って来た。

えっ、どういうことだ。なんか、幻聴じゃなくてリアルな愛ちゃんの声に、間違いないような気がするんだけれど。あー、僕の頭の中が混乱してくる、また愛ちゃんの声が

『元ちゃん、愛ちゃんを迎えに来て』って、僕は何だかドキドキしてきて、僕の手足が勝手に声の聞こえる方に動き出している。その時には、僕の心も

『行こう、愛ちゃんを迎えに』って、スイッチが入っていた。

『愛ちゃん、今行くよ。待っていて』って、無意識に言葉は出ているし、僕の心はこの上なく明るくなってきているし、もし愛ちゃんが居なくて幻聴に幻想だったら、その時の僕には、もうそんんことはどうでも良かったみたいだ。

要するに、僕は僕自身が思っているほど、その時しっかりとしていたわけではなくて、愛ちゃんを迎えに行く途中で倒れていたらしい。

モンスターが姿を現さないって思っていたのは、僕の誤りでモンスターはしっかりと姿を現して、僕と戦っていたらしい。それは、後から愛ちゃんが話してくれた。

何でも、僕の倒れていた場所から、1メートルくらい離れた場所にモンスターの亡き骸が倒れていたんだって。愛ちゃんは、その亡き骸を携帯電話に撮っておいたので、これも後からみんなで見たんだ。

愛ちゃんは、僕の名前を呼びながら、あっちこっち捜しながら僕を見つけてくれたんだ。その時、僕を見つけるのがもう少しおくれていたら、僕も愛ちゃんもゲーム機の外の世界に戻ることが出来なかったかもしれないんだ。それは、僕や愛ちゃんみたいに天界の住民でも、本当に危機一髪って感じだったんだ。

愛ちゃんが僕を見つけたときには、トーテムポールが爆発する寸前だったんだ。愛ちゃんが僕を抱えて、モンスターの写真を撮って、ガタガタ揺れるトーテムポールの中から猛ダッシュで、脱出した。トーテムポールの入り口の周りには、鷹さんたちやすずめさんたちにムカデさんたちも、みんな心配そうな顔をして愛ちゃんが出てくるのを待っていたんだ。そして、僕を抱えた愛ちゃんが飛び出してくると、鷹さんがすぐに僕らを銜えて、ゲーム機の中の優希ちゃんの家に送ってくれたんだ。僕らが優希ちゃんの家に着いて、愛ちゃんが鷹さんやすずめさんムカデさんたちに、改めてお礼とさよならをしているときに、トーテムポールは大きな音をたてて爆発を何度か繰る返し、崩れ落ちていったんだ。これも後から聞いた話なんだけれど、なにしろ僕は、ゲーム機の中のみんなに、お礼もさよならの挨拶も何もせずにゲーム機の外の世界に戻ってきたんだ。そのなんて言うか、気を失ったままお恥ずかしい話なんだけれど。

僕が意識を取り戻したのは、かなり後になるんだ。


               続きはまた天使