優さんは、何も言わないっていうか何をどう言うと良いのか、自分の中でまとめられずに、考え込んでしまった。今までは、ずっと優希ちゃんのことを信じて待っていればよかったのが、現実に優希ちゃんが優さんの目の前にいて、一緒に帰ろうねって言ってくれているんだ。今までずっと待ち望んでいたことが、現実になるとそれはそれで戸惑いが生まれるらしい。そうだよね、今まで暮らしが180度変わり、今まで一緒にいた仲間と分かれなければいけなくなったりするわけだから、複雑な気持ちになっても不思議は無い。
優希ちゃんも夢ちゃんがそう言うと、その言葉が心に染み渡ってきたようね気がしてきた。
そのころ、僕は一人ガタガタと揺れるトーテムポールの中で、姿を現さないモンスターに一生懸命に話しかけていた。最初は
『卑怯者、姿くらい現せよ。何の抵抗も出来ない動物や子供やお年寄りを、利用しておまけに大事な蝋燭の炎まで消して、それにゲーム機の中にまで入って、何考えているんだ』とか
『どうして、子供たちの手に毒の花のあざなんかつけて、苦しめ続けたんだ。そのおかげで辛い思いをした人や猫や犬がいたことを知っているのか』とか
『親切な少年達って思って可愛がっていた、お年寄りの心を踏みつけにして、僕は許せない』とか
『少年達だって、何が何だか分からないままにモンスターの仲間にされて、毒の花をあっちこっちに植えさせられて、そんなことであの平和な世界を壊そうなんて許せない』って、僕は思いつくままに色々と言っていた。
モンスターは、一向に何も言わない。ただトーテムポールの揺れだけが激しくなって、前足と後ろ足の四本で立っている僕なのに、体がよろけるてあっちこっちにぶつかる。ぶつかるとぶつかった場所によって、目茶苦茶硬いくて痛いところもあるし、ぶにゅってそうマシュマロみたいになっていて、僕の体が吸い込まれていきそうなところあったり、びしょびしょに濡れているところも。
僕は、何だかモンスターに遊ばれているような気がしてきた。耳を澄ませていると何だか、モンスターが嬉しそうに笑っているようね声が聞こえてくる。その、悪いやつの笑い声というのじゃなくて、子供が心の底から喜んでいるような、僕は、妙な気持ちになってきた。この無邪気に笑い声を信じて良いのか、それともこれは、僕はもうモンスターにコントロールされ始めているのか。でも、こうして疑問に思える状態にいるってことは、僕はまだ僕でいるのかなって、僕の中でごちゃごちゃになってきていた。そんなときに、愛ちゃんの声が聞こえてきた。僕は内心嬉しいような、でも僕自身がみんなにゲーム機から元の世界に戻るように言ったんだから、それはありえないことだって自分を納得させるのに時間が少し掛かった。
けど、愛ちゃんの声は、段々と大きくなって来る、僕は何を信じていいのか分からなくなりつつあった。それなのに、僕は
『愛ちゃん、僕はここに居るよ』って、愛ちゃんの幻聴に大きな声で返事をした。
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