静けさを破ったのは、僕でした。ちょっとした段差を踏み外してしまった、前のめりに。アッちゃんと並んで歩いていたにのに、僕だけがトホホ。そして、かなり焦ってしまった僕は
『ゲッ
アッ
なんでこんなところに、段差があるんだ』って、前足で石を蹴ったら今度は、尻もつを付いてしまった。
『もう、元ちゃん、ちゃんと前を見て、下を見て歩かなきゃ駄目だよ』って、笑いながら愛ちゃんに言われてしまった。
振り返った、ボス猫さんや蝶ちょさんは、あきれた顔をして見ているし、アッちゃんは僕の首を銜えて起こしてくれて
『元ちゃん』って、一言、目だけ笑いながら言った。
僕は、
『猫だって、石から落ちるんだ』って、なんか的外れなことを言ってしまった。
そんな、ゲーム機の中のことをゲーム機の外で見ていた、リッちゃと空君のところに、サブさんと夢ちゃんが、さっきと遠くで声だけ聞こえていた隊長さんを案内して来てくれた。
『リッちゃん、空君、その先で隊長さんと会ったから案内してきたよ。ゲーム機の中のみんなの事も気になったしね』って、サブさんが
『ここに来るまでの間に、簡単に説明してもらったんだけれど、どうなの元ちゃんたちは、その後ビニールハウスの親子とお年寄り達は、どうしている、元気なのかな』って、隊長さんが、心配そうな顔をしてゲーム機の中を覗き込んだ。
『まだ、家には着いていないんです。途中で、モンスターに攻撃されたりして、結構遠いんです、家。閉じ込められている人達は、隊長さんがあの家でゲーム機を見たときと同じ、だから取りあえずは大丈夫』って、空君が説明した。
『ねぇ、なんか元ちゃんの様子がおかしいんだけれど』って、サブさんが聞いてきた
『うん、ついにこけてしまったんだ。元ちゃん、箱入り猫で育てられたから、運動神経がちょっと・・・。インドア派だから、いつかやるなって思っていたんだ』って、リッちゃんがまるで自分のことのように恥ずかしそうに言った。
『ねぇ、聞いていい。このボス猫の肩に止まっている蝶ちょさんは』って、夢ちゃんが、聞いたので、リッちゃんが簡単に蝶ちょさんのことを話すと、夢ちゃんは
『みんな自分だけが、不幸って思っているけれど、そんなことないんだね。だって、私、この蝶ちょさんに比べたら、今はここでこうして温かい仲間と一緒に、生きているんだもの、それって凄く幸せなこと。そして、レッドポイズンの花粉で蝶ちょさんは、苦しいい思いをしたんだろうなって、心から思える。だって、レッドポイズンさえ、咲いていなかったら蝶ちょさんは、最後まで蝋燭の炎を燃やすことが、出来たかもしれないのに。でも、そうしたら蝶ちょさんは、ゲーム機の中の女の子に出会うことはなかったっていうことになるのか。ああ、難しいわ、この二人の出会いは、悲しいけれどすてきな出会いなんだもの』って、言いながら夢ちゃんの目から、大粒の涙がこぼれ落ちてきた。
リッちゃんたちは、泣いている夢ちゃんのことは、そっとしておき、隊長さんに本部にいるビニールハウスにいた子達や、レッドポイズンをあっちこっちの公園に植えていた子達が、どうしているかを聞いた。それと廃校になった小学校に猫さんたちを集めて、何匹かの猫さんたちを連れて行ったモンスターの人間が、あの後現れたのかも聞いた。それとボス猫さん達のいた、公園がどうなっているのかも。
サブさんからは、小学校から連れて行かれた猫さんたちが、今どうしているのかも。
問題は、どんどん増えている感じだ。
続きはまた![]()