僕とサブさんは、顔を見合わせて
『成功したね』って
『驚かせて、すみません。今ので、僕にも少しは力があるということ、分かってもらえましたか』って、サブさんが言うと
『あんなのは、ほら人間の手品って言うのだ。何か、仕掛けがあるんだよ。あんな事じゃ、騙されない』って、訳知り顔の猫さんが言うと、一時は、心が傾いていた猫さんたちも、その言葉で少し冷静になったらしく
『そうだ、なんかあるんだ。こんな若猫に騙されたりしない』って、口々に
『しょうがない、サブさん、ちょっと荒業でいってみる。あの訳知り顔の猫さんを軽く持ち上げてみよう。なんか言って、僕また合わせるから』って、僕
『OK、そんなに疑うんだったら、そこの疑い深い猫さん、こんなのはどうだろうか』って、サブさんの言葉に合わせて、僕は猫さんを持ち上げた。
『なに、なにをするんだ』って、訳知り顔の猫さんは、空中でバタバタしている。その様子を見ていた、多くの猫さんたちは、
『どうする。サブのこと信用するか』とか『いや、帰れない』とか『あいつは、ただの猫じゃない。逆らったら、何かされるんじゃないか』とか『いや、あいつの公園の猫たちは、いつも楽しそうにしている。あいつ、猫意外とも仲がいいんだ』とか『確かに、あいつの公園の猫たちが、あいつの悪口を言っているのは聞いたことがない』とか、様々なことを言っている。
中には、サボさんが照れてしまうようなことも。
空中から降りて、落ち着きを取り戻した訳知り顔の猫さんも、落ち着いたところでサブさんが、もう一度みんなに聞いた
『どうでしょうか、みなさんここから出て家族のところに帰りましょう。もう少ししたら、人間がここを調べにきます、そうしたらここは閉鎖されます。そうなったら、餌どころかここから出られなくなってしまうんです。もう一度、自分達の力で餌を、そして家族を守りましょう』って、サブさんが言った。今度は、机の時と違って、
『帰って、家族ともう一度、私は頑張ることにしたよ。もう何も、恐れないよ』って、僕が持ち上げた、訳知り顔の猫さんが一番最初に言った。
一匹の猫さんが、そう言うともう次から次と
『そうだなぁ、帰って大変でも家族と一緒がいいな』
『前みたいに、安心して餌が捜せるように、自分達で頑張るか。愚痴ってばかりいないで、毒の花を植えている奴を見つけたら、襲ってやるか』
『そうだな、それがいい。まだまだ、私でも戦える』って、老猫さん
みんな、いくらか不安を持ちながら、それでも自分達の住処に帰ろうって言う気になったみたいだ。
『決まりましたね。じゃ、みんなここを出ますよ。急ぎましょう、僕の後についてきて下さい。行き先は、僕の公園です』って、サブさん
『サブさん、後ろは僕が、安心して』って、僕
廃校になった小学校から、雄猫さんたちの大移動が始まった。みんな、決心してからの、気持ちの切り替えは早い。サブさんの後を遅れないように、みんな早足だ。僕は、残っている猫さんがいないかを確認して、最後の猫さんの後ろに、僕が校門を出るのと同時くらいに、隊長さんの部下の人たちが乗っている、車のエンジンが聞こえてきた。
間一髪、ほっとした。
部下の人たちが乗った車は、猫さんたちの餌を持ってくる人に気付かれないように、小学校から少し離れた場所に止められた。
サブさんの後に付いて、歩いている猫さんたちにも、エンジン音が聞こえているから、みんな少しざわめいた、とは言ってもこれは、ほっとしたざわめき。
この雄猫さんたちの大移動を、見た人がいたとしたら、圧巻だったと思う。
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