そう、夢ちゃんの目は、本当は見えなくなるはずじゃなかったんだ。お母さんを亡くしたり、ほんの少しだけ、他の兄弟よりも体が小さかったり、毛が短いというハンディーがあったり、辛い生い立ちはあったても、その中に目が見えなくなるということはなかったと思う。夢ちゃんは、僕らにレッドポイズンの咲いている場所を案内してくれる、猫さんなんだと思う。それが、何かのアクシデントで、目に怪我をして右目は全く見えなくなり、左目もかなり見えなくなってきている。それは、元の正しい方向に戻さなければ、レッドポイズンを早く見つけられないんだって、僕は思った。
僕は、心の中を空っぽにして、夢ちゃんの目が見えることだけを考えて、夢ちゃんが元気に走っている姿を浮かべて、そして、レッドポイズンからいろんな動物を、人間を守っている夢ちゃんの姿を思い浮かべた。
僕らは、どれくらいの時間、目を閉じ祈っていたんだろう。
『夢ちゃんの目に、どうか光を戻してください。夢ちゃんの目が、どうか以前のように見えるようにしてください。夢ちゃんの目が、僕らをレッドポイズンに案内してくれるように、光を与えてください。生き物を全ての生き物を、助ける為には、夢ちゃんの力が必要なんです。お願いです、力を貸してください。僕の手から、夢ちゃんの目に、光を与えてください。元の道に、夢ちゃんの目を戻してください』って、僕は祈り、みんなは
『元ちゃんに力を、与えてください。夢ちゃんの目が見えるようになる力を、元ちゃんに与えてください』って、
そして、夢ちゃんは
『お母さん、みんなが私のために祈ってくれているの。私の目が、見えるようにって、みんなが祈ってくれているのよ。お母さん、私は一人じゃないよ。お母さん、私、お母さんとの約束、挫けそうになった時もあったけれど、今は、ちゃんと胸を張って、しっかり前を見て生きているから、安心してね。私は、目が見えなくなっても、幸せだよよ。サブちゃんもいるし、公園のみんなも、よくしてくれるし、こうして不思議な体験もしている。お母さん、生きているっていろんなことがあるんだね。私は、きっと一緒に生まれたお兄ちゃんや弟達に比べると、毛が短かったり、体が小さかったりで劣っていたけれど、みんなが経験できないようなことをいっぱいしたよ。前は、いつも泣きながら、お母さんを呼んでいたけれど、ここに来てからは変わったでしょ。お母さんもここに来ていたら・・・ずっと見ていてね。あぁ、温かい、お母さん』って、言いながら夢ちゃんは気を失った。
僕は、夢ちゃんの額から手を離した。
『夢ちゃん、どうしたのかな』って、サブさんが心配そうに、覗き込んだ。
『大丈夫、すぐに気が付くよ。僕の気が入って、夢ちゃんの体の中で、調整しているんだと思う』って、僕は言いながら、もの凄く脱力感を感じた。
『元ちゃん、大丈夫、少し横になった方がいいよ』って、リッちゃんが心配そうな顔をして
『うん、大丈夫』って、僕
『あっ、夢ちゃんが気が付いたよ』って、愛ちゃんが、
みんな一斉に、愛ちゃんと夢ちゃんを囲む、そして
『どう、どうなの、夢ちゃん。見える』って、
『明るい』って、夢ちゃんが一言、そうだ、忘れていたけれど、夜が白々と明けかけていた。
『うん、うん、明るいんだよ、夢ちゃん、そして僕らのことが見えている』って、僕
『はっきり、見えている、じっとぼんやりしていたのが、霧が晴れたみたいに。サブちゃん、サブちゃんの顔がはっきりと見える。元気さんも、アッちゃん、リッちゃん、空君、愛ちゃん、不思議な世界の、みんながはっきり見える』って、夢ちゃんが大きな涙を目に浮かべて笑いながら
『夢ちゃん、今度は、涙で霞むよ』って、空君が
『夢ちゃん、目が見えるようになっただけじゃないよ。噛み切られていた耳も、元に戻っているよ。夢ちゃん、可愛いよ。いいい、ほら、触れたでしょ、ちゃんと耳が治っているでしょ』って、愛ちゃんが夢ちゃんの手を耳まで、もっていた。
夢ちゃんは、言葉にならないくらいに、サブさんも泣きながら、自分のことのように喜びながら、
『本当に、本当に』って、言葉が続かなかった。
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