夢ちゃんの話は、もう少し続くんだ。それにしても、悲しすぎる、夢ちゃんがお母さんに、自分が居なければ、お母さんは、飼い主さんに可愛がってもらえるのにって言ったら、夢ちゃんのお母さんは、こう言ったんだって
『ずっと以前は、飼い主さんも優しくて温かい人だったの、今の夢ちゃんを見ても、ちょっと毛が短いけれど可愛いよって言ってくれるような人だったのよ。でも、私が始めて子供を産んだ時、その子たちを飼いたいと言う人たちがいて、譲ってあげたの。その時、お礼にっていってお金をもらったの。それ以来、私は年に1度子供を産むようになったの、お金のために。そのころから、少しつづ飼い主さんが変わっていったの。でも、そろそろそれも終り、お母さん、子供を産めなくなってきているから、そうなったらお母さんもどうなるか分からないから』って、悲しそうに言ったんだって。
『みんな、そんなに悲しい顔をしないで。あのね、私、お母さんが付けてくれた夢って言う名前、すごく気に入っているの。私、夢って言う響くもすごく好きなの』って、夢ちゃん
サブさんも、僕らも、うなずくだけで言葉が出ない。
『私は、お母さんが亡くなると同時に、その家から捨てられての。そのことは、覚悟していたから、驚きはなかった、あー、お母さんもいなくなって、私は一人で前を向いて生きていかなくてはいけなくなったんだって。ただ、何も知らない世界に出て行くのは、不安がいっぱいで、いつも私を抱いていてくれたお母さんがいなくなり、右も左も分からないところで、お腹を空かせて一人で眠ろうとして、目を閉じたら泣くまいとしていても、自然に涙が止まらなくなって、フフフ可笑しいの、涙ってお腹が空いていても次から次って出てくるの。それから、ここの公園でサブちゃんに会うまでの半年ちょっとは、私にとっては、地獄だった。その時私、赤が嫌いになったの。私にとって赤という色は、血の色、血の色は、痛さであり、苦痛であり、涙であり、恐怖であり、憎しみであり、裏切りの色なの。私が、ここの公園に来て、サブちゃんにあった時って最悪だったの。もう、お母さんとの約束の、前を向いて生きていくことなんか出来なくなっていたの』って、夢ちゃんが言うと
『そう言えば、夢ちゃん、僕と会った時、随分ひどい怪我をしていたんだよね。僕が近づいていくとボロボロになっている体を、引きずって逃げようとしたんだ。そうだったよね。僕が、何もしないから逃げないで、動くと傷が痛むよ。じっとしていてって言って、やっと近づけたんだ。顔は、血と涙でぐちゃぐちゃだったね。僕は、そおっとそおっと痛くならないように、夢ちゃんの顔を舐めて汚れを落としたんだ。その時、目を怪我していたんだね。瞼の傷は、知っていたけど、目が見えなくなっていたとは気が付かなかった。足も手もお腹も背中も、怪我していたんだ。少し落ち付いてくれたから、僕、餌を捜してもって行くと、夢ちゃんすごい勢いで食べて、そしたら寝ちゃったんだ。思い出した、その時、寝言を言っていたんだ、お母さんって、でも、僕、夢ちゃんが目を覚ました時、そのことは言わなかったような気がした。多分、言わない方がいいと思ったんだと思う。それから、しばらくは夢ちゃん、僕のことも、この公園の仲間達の事も、警戒していてなかなか打ち解けてくれなかったんだ。僕らは、みんなそれぞれに話したくないことや、思い出したくないことがあるから、夢ちゃんにも、あえて聞かなかったんだ。怪我の具合が良くなるにつれて、みんなとも仲良くなってきて、少しづつ話もするようになったから、僕はそれで良いと、僕は、夢ちゃんがずっとこの公園にいてくれると良いと』って、サブさんが少し照れながら
『私、どこどうやってこの公園にたどり着いたのか、よく覚えていないの。ただ、何かに追いかけられていたようで、それが人間なのか、動物なのか、でも私はどちらも怖かったし、だからサブちゃんに声を掛けられたときは、私はこれで終わりになるんだって、思っていたの。サブちゃんが少しつづ近づいてくると、サブちゃんからお母さんと同じ温かい匂いがしたの、まるでお母さんが近づいてきて私を優しく包んでくれるような。あの夜、お母さんが亡くなってからはじめて、私ゆっくりと眠ることが出来たの、まるでお母さんに抱かれているようで、何も考えず、本当に安心して何があっても、お母さんが私を守るから、安心して眠りなさいって。子供の頃、お母さんに抱かれて寝ていた時のように、私の耳元にお母さんの歌う子守唄が聞こえていて、とても幸せな気持ちになったの。それまでの、傷の痛さも、心の痛さも、みんな忘れさせてくれるくらいに』って、夢ちゃん
『夢ちゃん、辛い思い出を思い出させてごめんね。でも、今度から、赤い色を見たらきっと、お母さんの温かい匂いを思い出せるようになるよ。ねぇ、元ちゃん、そうでしょ』って、愛ちゃんが
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