『愛ちゃん、ありがとう。いっぱい泣いたら、心の中の闇が少し明るくなったかもしれない。私、誰にも自分の過去を話していなかったから、ごめんね、サブちゃんにも、内緒にしようということではないの、ただ、思い出すのも、それを口にするのも、嫌だっただけなの』って、夢ちゃん

『僕こそ、何も気が付かないで』って、サブさんが

『そんなことないよ。サブちゃんは、気が付かずにいつも私のこと、気づかってくれていたよ。右目が見えない分、走るのが遅かったり、バランスの悪い私のこといつも、ゆっくりで良いよって、待っていてくれたり、食べ物を捜してくれたり、私、いつもサブちゃんに感謝しているもの』って、夢ちゃん

サブさんの目からも、夢ちゃんの目からも、そして僕らの目からも大きい涙が

『私が、ここの公園に来たのは、丁度二年前になる。私が三歳になった年、私は見たとおり出来損ないのヒマラヤンなの。私、四人兄弟の二番目に生まれたの、生まれたときは他の兄弟と変わりがなかったんだけれど、日一日と経つごとに、少しつづ他の兄弟と違いが出てきたの。元気さんなら、分かるでしょ、私が、どう出来損ないなのか』って、夢ちゃんは、僕のほうを見た。

『アー、出来損ないなのかどうかは、僕には分からない。ただ、人間には、色んなタイプの人がいて、夢ちゃんを出来損ないと言う人がいるかもしれない。でも、夢ちゃんは、夢ちゃんって言って可愛がってくれる人もいる。夢ちゃんは、そういう人に会うことが出来なかったんだと思う』って、僕

『僕には、夢ちゃんが出来損ないなんかには見えない。えーと、あーぁ、もしかしたら、ヒマラヤンって長毛の猫さんだ、夢ちゃんは少し毛が短いのかな。でも、気になんかならないよ。公園で、夢ちゃんを見た人はきっと、可愛い猫さん、迷子になっちゃったのって、言っていたんじゃないの。夢ちゃんのことを、拾って帰ろうとした人はいたと思うよ。違うかな』って、僕

『そう言われると、私のこと捕まえようとした人は何人かいたけれど、私、怖くて逃げたの。私、生まれたときから、毛が他の兄弟より短かったの。私の飼い主は、ブリーダーではないんだけれど、私の親に子供を産ませては、知り合いとかに譲っていたの。勿論、ただではなくお金を受け取っていたわ。そうすると、私はお金にならない子なの、厄介者になるの、私を産んだお母さんには、どうすることも出来ないの。そうでしょ、お母さんだって飼い主に飼われているだけなんだもの。生活力なんかない、それでもお母さんにしてみると、私だって同じお母さんの子供だから、おっぱいだってみんなと同じように飲ませてくれたし、毛づくろいも一生懸命に、お母さんは毛が早く伸びますように、ふさふさに他の兄弟と同じように育ちますようにって、いつも祈りながら、私のこと育ててくれていたの。三人の兄弟たちは、お金と引き換えに貰われていったけれど、私は結局売れ残ってしまったの。それでも、お母さんは私を庇うように、祈りながら育てられるところまで、育ててくれた。そして私に言うの、ごめんね、あなただけ、苦しい思いをさせてしまって、お母さんにも分からないの、どうしてあなただけ毛が伸びないのか。それでも、何とかそこの家に私は、5ヶ月くらいまでいることが出来た。ただ、食事はお母さんの分しかなかったら、私、体も小柄でしょ。お母さんと二人で分け合っていたの。はじめ、私は何も分からなかったから、いっぱいご飯を食べてしまっていたの。私が、少し食べ残したご飯を、お母さんが食べていたの、ニコニコと笑いながら、本当はお母さんお腹が空いていたはずなのに。私、しばらくしてそのことに気が付いたの、それで半分ご飯を残したら、お母さんがあなたは、育ち盛りなんだから、いっぱい食べなければいけないの、本当はもっともっと、食べさせてあげたいんだけれど、ごめんねって。このときは、私がお母さんに言ったの、私は他の兄弟と違って、お母さんを独り占めできているから、幸せって。私達親子は、寄り添っていたの、いつも、。ただし、それだけでは生きていけないでしょ、ある日、お母さんが栄養失調で倒れたの。お母さんは、覚悟を決めていたんだと思うの、多分飼い主は、私のことを捨てるだろうと、そうなるまでは私に少しでも多くご飯を食べさせようとしたの。少しでも私に、体力をつけさせようとしたんだと思う。お母さんは、私に自分の知る限りの外についての情報を教えてくれた。とは言え、お母さん、外に出たことがなかったから、限られた情報しかなかったんだけれど。お母さんは、そのまま亡くなったの。倒れる前に、お母さんは私に言ったの、何があっても、前を見てしっかりと生きてちょうだい。あなたは、いい子よ、そして、可愛いわ。私の大事な宝物。あなたには、ずっと名前が付いていなかったのよね。お母さん、考えていた名前があるの、夢、夢ちゃん、どう気に入ってもらえたかなって、それが最後だったの』って、ここまで一気に夢ちゃんが話した。


                   続きはまた天使