『あー、小町ちゃんが震えている。まだ、赤ちゃんだから、元ちゃん、早く何とかしなくては』って、空君と愛ちゃんが、泣きそうな声で

『そうだ、実君が僕らを受け入れてくれるまで、実君と信長さん達のいる場所にバリアを張ろう。それで、実君の心が落ち着くまで少し待ってみよう。で、バリアの中に実君のお父さんとお母さんの映像を出してみよう。お父さん達が心配している姿を見たら、実君も心を開いてくれると思う』って、僕

『さぁ、バリアを張ろう、雨と風を防いであげよう』って、アッちゃん

『実君も信長さんも小町ちゃんも、愛ちゃんたちのこと気が付かないのかな。さっきから、ずっと話かけているのに。お母さん達の映像は気が付くよね』って、愛ちゃん

『うん、きっと三人とも僕らの呼びかけには、気が付いていると思うよ。ただ、信長さんと小町ちゃんは、実君のことが大好きだから、実君が心を閉じている間は、二人とも僕らの呼びかけには、応答してこないと思う。だから、五郎さんに頼んだんだ』って、僕

『映った、実君のお父さんとお母さん、お母さんがお父さんに抱えられている。何か言っているみたいだけど、声が聞こえるようにならないの』って、リッちゃんが僕の方を見て

『映像を実君たちも見ている、実君、泣いているよ。信長さんと小町ちゃんが、実君の涙を舐めているよ。あー、信長さんも小町ちゃんも泣いている、三人で、抱き合って泣いているよ』って、空君

『元ちゃん、声は上手く拾えそう。雨と風の音に消されてしまわない、大丈夫』って、アッちゃん

『んーん、少し入っちゃうけれど、聞き取るのに問題はないと思う』って、僕

『聞こえてきたよ。お父さんとお母さんの声が』って、りっちゃん


レスキューの人

『いつも、ここには実君と犬が来ているんですか。ここは雨と関係なく、立ち入り禁止の場所で、立て札もロープも張っているんですが、こういうことは、よくあるんですか実君は』って、聞かれている

お母さん

『そんなことないです。実は、ルールはちゃんと守る子です。いけないことがはっきりと分かる子です。何か、あったんです、そうでなければこんなところまで来るはずがありません』って、倒れそうになりながら、強く言う

お父さん

『先日、この近くでバーベキューをしましたが、あそこの島は危険だからという話はしていたんですが。あの、なんとか助けてください。あの子は、私達の大事な宝なんです。あの子は、あの子の母親から預かった大事な宝物なんです。お願いです、助けてください。二度とこんなことをしないように叱りますので、助けてください』って、激しい雨の中、お父さんは傘も放り出して、土下座して助けてくださいとお願いしている姿が、実君の目の前に映る。お母さんも、お父さんの隣でお願いしている、自分を助けて欲しいと。実君は、その映像を見ながら

『お父さん、お母さん』って、初めて声を出して泣き始めた。そして、やっとこの島から無事に救出されたいと、助かりたいと言う気持ちになってくれた。

レスキューの人

『私達も、全力は尽くしますが、この雨と風それに川の水量が急激に増してきて、どうにも動きが取れないんです』って、言っているのが聞こえてくる。

お父さんとお母さん

『なんとか、なんとか、お願いします。どうか、あの子を助けてください』って、二人とも泣いている。


『実君、信長さん、聞こえる、僕らの声』って、僕

『聞こえます』『聞こえています、あの元気さんたちですよね。五郎さんから』って、実君と信長さん

『良かった、返事してくれた』って、愛ちゃんと空君

『もう、僕らを拒否しない。僕らがそっちに行っていいかな』って、僕が聞くと返事の代わりに、僕らが実君に受け入れられた。バリアを張ったままなので、ここは今、雨も降っていないし、風も吹いていない。

『あの僕・・・』って、言いながら小町ちゃんを抱いたまま、実君は大きな声で泣き出した。その横で信長さんは、ほっとしたような顔をして

『ありがとうございます』って

『あー、みんなの炎が、蝋燭の炎が赤々と燃え始めている。実君、大丈夫だね』って、リッちゃんが

『お母さんもお父さんも、あんなに心配しているよ。自分達の宝物だって、実君』って、愛ちゃんが

『そう簡単に、宝物は蝋燭の炎を消すことは出来ないんだよ。あんなに愛してくれている、お父さんやお母さんを悲しませることは、出来ないよね』って、アッちゃんが

『そうだけど、お父さんとお母さんは・・・離婚してしまうって』って、実君

『本当にそうなの、ちゃんと聞いたの、僕のお父さんとお母さんも、喧嘩をすると時々離婚をするって言っていたよ。僕やお姉ちゃんが、嫌だよって泣くと、冗談よ、喧嘩をしただけって言っていた。もしかしたら、実君の早とちりかもしれないよ』って、空君が

『ちゃんとは聞いていないけど、夜トイレに起きたら聞こえてきて、僕は信長と小町と一緒に田舎のおじいちゃんとおばあちゃんのところに預けられるって。だから、僕、僕は、お父さんの子でもお母さんも子でもないから、僕なんか邪魔だと思って』って、実君はヒクヒクしながら

『お父さんもお母さんも、実君のこと誰の子供でもない、自分達の子供だと思っているよ。さぁ、お父さんとお母さんのところへ帰ろう。小町ちゃんも震えているし、信長さんだって』って、僕が言うと

『帰りたい。お父さんとお母さんのところへ』って、実君が

僕らが、実君達を助けるためには、実君のこの言葉が必要だった。


                続きはまた天使