子供のハト達は、全員無事に愛ちゃんのパワーから解かれた。そしてそれぞれ両親の元へ、ただ一羽だけ行き場がなく、ポッンと空に取り残された子供のハトさんがいた。そうか、モンスターハトさんとピンクさんの子供だ、二人とも自分達の子供のことは何も言っていなかった、言えなかったんだろう。ずっと気がかりだったに違いない、それもあって、あの時、子供達を心で支えていたんだろう。どうしよう、あの子を迎えてくれる、お母さんもお父さんもいない。あーって僕らが、頭を抱えていたら、スーって一羽のカラスさんが、子供のハトさんのところへ飛んでいき口ばしで優しく頭をツンツンって、羽で手招きするように、まるで

『私が、これからあなたのお母さんよ。さあ、おいでお母さんのところへ、お帰り。お母さんから、離れちゃ駄目だよ』って、でも言っているように、僕らにも、みんなにもそう見えた。

子供のハトさんは、カラスのお母さんの後ろを、嬉しそうに羽をパタパタさせながら

『絶対に、お母さんから、離れないよ』って言う感じに、ぴったりくっいて飛んでいた。カラスのお母さんは、気のせいかもしれないけれど、僕らの方にお辞儀をしたように見えた。そして二人は、誰が見ても本当の親子のように、仲良く飛んでいった。このカラスのお母さんとハトの子供の親子のテリトリーが、リッちゃんの散歩コースなので、これから時々見ることになった。何も知らない人間が見ると、奇妙な組み合わせにしか見えないけれど、みんなは知っているから、この親子を見ては

『そう、姿形も全く違うし、同じ鳥といっても、子育てをしたことがないって言っていたから、上手く育てられるのか心配だったけれど、あんなに仲のいい親子は、なかなかいないね。それにカラスさんがあんなに、優しいとは知らなかったし、あのハトの子がまた良い子に育って』って、みんなが言っていた。

一人だと何をしても淋しいけれど、二人だと淋しいことが、楽しいことに変わることもあるから、お互いを優しく包んであげることが出来るから、この奇妙な親子は、この先もずっと仲のいい親子だった。

そして、誰一人として、あの子の両親のことについては、何も言わなかった。きっと、これが周りの優しさなんだ。こういう事が人間の社会で起きたら、残された子供は、本当に行き場が無くなってしまうんだろうな。それと、人間の場合は、簡単にこの子を今日から自分が育てますとはいかない、色々と手続きとか、収入とか、ちゃんと両親がとか、今回のように、いきなりカラスさんが、子供のハトさんに自分がお母さんよとは、いかなかっただろう。その点、僕ら動物は、あっ、カラスさんやハトさんは、鳥類か、まぁ、まとめて動物ということで、僕らは色んなことに拘らないから。ただ、自然の中で生きている、僕らの仲間は、あまり自然を壊されたくないと思っているだけだと思う。僕らは、元飼い猫だったり、元飼い犬だったり、空君や愛ちゃんは人間だし、その自然の変化に対しては、少し自然の中で生きている仲間に比べると、鈍感かもしれない。

そうそうあとで、このカラスさんのことを、サブさんが話してくれたんだけれど、モンスターハトさんやピンクさんと話をしたんだって、ご主人とご主人の両親を、この騒動で亡くしたと言っていた、カラスさんだったんだと。このカラスさんは、恨みとか憎しみなんかを超越したんだろうな、そしてこれから先、自分が生きていくためにも、モンスターハトさんとピンクさんの残してた子供を、育てようと思ったのかな。偉い鳥さんだと、みんなが思った。

本当に、この時は助かった。すぐに、育ててくれる鳥さんが出てきてくれないと、僕らにはどうすろことも出来なかったから。まだ、一人で生きていくには、早すぎる、第一餌の取り方が分かっているようには見えなかったし、実際そうだった。夜なんか、一人では寝られなさそうだし、雨なんかが降ったらどうしようって、だから、カラスさんが僕らにお辞儀をしたように見えたとき、僕らも自分で気が付かないうちに、深々と頭を下げていたらしい、これもサブさんが言っていた。僕らの姿や声は、ここではサブさんにしか見えないので、みんなへのお礼は、サブさんが僕らの代わりに、伝えてくれた。

『みんな、無事に終ったよ。力を貸してくれて、協力してくれて本当にありがとうって、みんなが送ってくれた、パワーがどんなに役に立ったか、どんなに僕らを助けてくれたかって、元気さん達が言っているよ。一人ひとりに、お礼を言いたいけれど、それは出来なくてごめんって言っているよ。元気さんもアルフさんもリッチさんも空君も愛ちゃんも、みんながありがとうって言っているよ。もう安心して、今まで通りに暮らしていけるって。みんな、やったよ。みんなの力だって』

僕たちは、改まった挨拶なんかしたことがないので、メチャクチャ焦った、

サブさんと僕らは、それから少しだけ話をして別れた。


             続きはまた天使