モンスターハトさんとピンクのモンスターハトさんの声は、バリアの中で耳にオリーブの葉をつけているハトさんは勿論、何も着けていないリッちゃんにも、遠くの公園にいるカラスさんや犬さん猫さん、そして多くの生き物のみんなにも聞こえたんだ。当然、アッちゃんや空君のいる空でも、アッ、その時はもう、僕も愛ちゃんもモンスターハトさんの中から出ていて、アッちゃんの背中の上で家に向かいながら、みんなで聞いていたんだ。
モンスターハトさんとピンクのモンスターハトさん、二人の話は
『ノアの方舟から、ずっと平和の象徴として生きてきたハトの誇りを、私の浅はかな思いで傷つけてしまったこと、そして多くの生き物に、不安うを与えてしまったこと、おそらく私達が愚かな考えに走ったために、カラスの皆さんの大切な蝋燭の炎を消してしまうことになったのも私達の責任と思います。どんなに、苦しい立場にいても、自分達の大切な誇りを捨ててしまっては、元も子もないということは解ってはいたんですが、どうしても、、私は自分達の、ハトの世界があったらどんなにかいいだろうと、暑い夏の日にそれは熱いアスファルトの道路を、餌を求めて、子供達の餌を求めて歩きながら、車の来ることさえも忘れて一心不乱に、道路に這いつくばっている仲間を見ていたら、そして車に轢かれてしまった仲間を助けることが出来なかった、自分。人間に危害を加えられている仲間を、助けることが出来なかった、自分。私とピンクのモンスターハトは、ずっと、ずっと昔から、人間とも他の動物とも共存していけるんだと思っていた。確かに今も、共存しているというとそうなのかもしれない、私達よりももっと大変な思いをして、子供達を育てたりしている動物が沢山いることを忘れて、自分たちだけが、何故なんだとそんなことを思っていたら、甘い誘惑が、私達は簡単に落ちてしまったんです。そう、私は誇りよりも機械のモンスター3の怪しい誘惑に心が揺らいでしまいました。私達は、機械のモンスター3に、簡単に自分達の大事な蝋燭の炎と心臓を、差し出してしまったんです。私の愚かさをなじってください、そんな価値も私にはないのかもしれませんが。私はただ、仲間に、子供達に食べ物と安心して暮らせる場所が欲しかった。よく、考えてみると、それはどんな動物もみんな、思っていることなのに、私はその時忘れていました。苦しいのは、辛いのは、ハトである自分達だけだと勝手に思い込んでした。そして、仲間たちが望んでいるだと勝手に決めてしまい、私達は走り始めてしまったんです。それも、正しい方向とは反対に向かって、走り出してしまうと、間違っていると気が付いても、もう後戻り出来なくなっているんです。そして、私にはその勇気が悲しいことに無くなっていたんです』って、ここまでモンスターハトさんが言うと、ピンクのモンスターハトさんが
『何かを壊しても、何も生まれないと心のどこかでは思っていたんです。この世界を壊しても、ただ、魅力的だったんです、自分達の世界という言葉が。仮に、自分達の理想の世界がもてたとしても、それは自分達の世界ではなくて、モンスターの世界を創るためのものだということに、気が付かなかったわけではないけれど。仲間のハトたちに、多くのハトを集めるようにと言っているうちに、なんだか自分でも解らなくなってきて。あー、そうじゃない、こんな言い訳は、ごめんなさい。私達が愚かだったから、みんなに大変な思いをさせてしまった。そして、これは言い訳にしか聞こえないかもしれないけれど、全ての生き物に聞いて欲しいの覚えておいて欲しいの、心の中にほんの少しでも、モンスターの入ってくる隙間を作っていたら、モンスターは、いつでも甘い魅力的な餌をぶら下げて、手ぐすねを引いてよだれをたらして待っている、そして何食わぬ顔をしてやってくるの、善意の顔をして。そんな隙間は誰にでもあるし、一度モンスターに隙を見せると、とことん狙われてしまう、私とモンスターハトが特別なわけではないの、猫さんだって犬さんだって、人間だって、みんな不満を持っているわ、どんなに幸せな者も、いつでもモンスターが狙っているって、心に刻んでいて、忘れないで』って、ピンクのモンスターハトさんが、とても辛そうに、そしてどう自分の思いを伝えるといいのか、そのもどかしさが伝わってきた。
『私達と同じ過ちは、起こさないでください。そんなこと当たりまえだって、もし私が今、話を聞く側にいたらそう思うことでしょう。でも、実際は心が揺れて、その心の揺れをモンスターは見逃しません。心に隙間が出来たら、どうか、私達愚かなハトを思い出してください。そして、自分はお前達とは違うと、大きな声で叫んでください』って、モンスターハトさんは言った。
聞き終わったみんなは、何か言い返すというよりは、身につまされたような気になって、モンスターハトさんとピンクのモンスターハトさんが、まるで自分のことのようで、深く頭を下げて無言でいる者、目に涙を浮かべてうなずいている者、そう自分の心にも隙間があると思った者と様々だったけれど、誰も攻めることをしなかった、出来なかったって言う方が、当たっているのかな
続きはまた![]()