案の定目を覚ましたハトさん達は、騒ぎ始めたんだ。正直言うと、大人は、子供より始末が悪い、これは取りがけに限ったことではないんだろうけれど。目を覚ましたハトさん達は、以前からの友達や仲間が近くにいると、比較的安心した感じで、大人しくとまでは行かなくてもそれなりにはしていてくれるんだけれど、友達や仲間からはぐれてしまったハトさん達は、大変だ。仲間や家族をバリアの中を右往左往しながら探し回っているわけだから。リッちゃんが、何度か

『お願いします。詳しいことは、あとで説明しますから、静かにしてください。僕は、皆さんを無事に、安全な公園まで、送り届けますから。皆さんはハトさんで、空を自由に飛べることは知っていますが、今はみなさんに自由に飛んでもらえないんです。下を見てください、海には自衛隊の船や警察の船、空にも自衛隊のヘリコプターが、飛んでいます。全て皆さんを攻撃するためです。皆さんは、事情を知らないわけですが、人間は今、皆さんを平和の象徴であるハトとはみなしていません。みなさんのことを、平和の秩序を破るハトだと思ったいます。だから、今はこうして僕が皆さんを運んでいるんです。このバリアの中は安全です、僕らには、外が見えますが、人間からは僕らの存在が解りません。このバリアは、オーリブの葉っぱで出来ています。みなさん達の先祖がノアさんに渡したオリーブの枝、その葉っぱが今、みなさん達を救ってくれています。だから、お願いです、静かに騒がないで』って、リッちゃんが言うと、静かにしょうと言ってくれるハトさんもいれば、

『大きい、白いハトを出せ。犬じゃ、話がわからない』

『そうよ、大きい白いハトよ。私のところに来たの、そして、みんなでハトだけの世界を創りましょうって言ったのよ。そして、海の上に集まるようにって、一羽でも多くのハトを集めるようにって、私は言われたのよ。一体、どうなっているの。私の子供は』

『そうだ、子供を出せ、子供達はどうしたんだ』

『ここは、おかしい、息苦しくなった来た、私はここを出て、子供達を捜す』とか言う、バリアから出ようというハトさん達と

『いや、ここの中で大人しくしていた方が良い』

『この匂いは、オリーブの匂いだよ。私達は守られているんだよ』

『この犬の言うことを聞いて、静かにしていよう。眠っている仲間の方がはるかに多いんだ、ここにこのまま置いていくわけには行かないいんだから、みんなが目を覚ますまで待とう』

『そうだ、これ以上バラバラになるのは良くない。しかし、あの白いハトは・・・私達はどうなるんだ』

『私は、一体どうしてこんなところにいるんだ。よく分からないんだ。何があったんだ、ねぇ、君は何故ここにいるんだ、何か解っているのなら教えて欲しい』って、周りにハトさんに聞いている、ハトさんや、残るべきだという意見など。

そうやって、目が覚めているハトが騒ぎ出していると、何の前触れもなくオリーブの葉が落ちて騒いでいるハトにも、まだ眠っているハトにも一枚づつ、何故か上手い具合にハトさん達の毛で隠れている左右どちらかの耳元に、どこからともなくひらひらと落ちてきた。そして、そのオリーブの葉は、ハトさん達に耳に

『この世界での暮らしは、楽ではないけれど、それでもみんながお互いを必要としながら生きているんだ。ハトさん、騒がずに静かにして、こっちへ帰っておいでよ。ハトさん達を連れている、リッチさんを困らせないで』って言う声が、みんなの耳に聞こえてきたんだ。その声は、カラスさん、犬さん、猫さん、爬虫類、海の中からだったり、ありとあらゆる生き物の声で、どうしてかわからないけれどその声には、希望が湧いて来そうな不思議なパワーを秘めていた。たった、それだけの言葉で、ざわついていたハトさん達を大人しくさせたんだ。

でも、リッちゃんとしては、何がなんだか解らないよって、そう、ハトが豆鉄砲を食らった顔をして、静かになったハトさん達を見て首をかしげていた。オリーブの葉っぱは、何の違和感を感じさせることなく自然にハトさん達の耳にあったから、リッちゃんは気が付かなかったんだ。バリアの中のハトさん達は、公園に着く前には、全員が目を覚ましていたんだ。みんな、静かにね。公園に着く少し前に、ハトさん達の耳についているオリーブの葉から、モンスターハトさんとピンクのモンスターハトさんの声が聞こえてきたんだ。それは、ハトさん達への、そして生き物全てに対する謝罪の言葉だった。


                        続きはまた天使