想像して欲しい、今の僕とリッちゃん、空君の体勢を。

空君は、右利きなのでいつもパチンコ使うときは、まず左手で持ち手の部分を、右手で弾を飛ばす。だから、今回の大きくしたパチンコで言うと、リッちゃんの係りは、空君の左手の部分を受け持つことになっているんだ。

それなら、何とか僕らの手でも出来そうだから。どうやって持っているかと言うと、持っていると言うよりは、押さえているの方がわかり易いかな。えーと、持ち手の上の部分をりっちゃんは、しっかりと噛み、その少し下の部分を、一生懸命パーにしたんだけれど、どうしてもグーの両手で抱え込む。お利口さんにお座りをした状態でなので、頑張って、両足でもはさんだ形になっている。毛で分からないけれど、きっと顔の色が見えたら、真っ赤になっていると思う。だって、かなり踏ん張っているもの。

空君は、体重7キロのまん丸の弾になった僕を、落さないようにパチンコの弾を乗せる部分に僕をセットして、両手で抱えながら、一歩一歩ゆっくりと後ろに下がっていく。慎重に、時々後ろを見ながら、とは言っても、後ろに何かあるわけではないんだけれど、きっと後ろに目がないからだと思う。

空君もリッちゃんも、失敗は出来ないんだっていう緊張から、唇が乾いている。リッちゃんは、鼻もなんとなく乾いて見える。掌には、二人とも汗が、リッちゃんは汗で押さえている持ち手が、滑りそうになるのを懸命に堪えているのが、弾になっている僕に伝わってくる。空君は、もっと大変だ、重い僕を抱えながらゴムを引っ張っているんだから、そして後ろを気にしながら、前を見ては距離の確認をしている。モンスターハトの口の中まで飛ばすには、どれくらいの距離まで下がって撃つといいのか、少し時間を掛けて考えている。僕は、わりと簡単に空君にモンスターハトの口の中まで飛ばしてって言ったけど、これはなかなか難しいことみたいだ。

僕はと言うと、ただ上手くモンスターハトの中に入れますようにって祈っていたと思う。

そして、その時が来た、空君が絶対にここから飛ばしたら、間違いなく成功するという場所を決めた。

『リッちゃん、しっかりと押さえていてね。ここから、飛ばすから。元ちゃん、決まったよ。心の準備は、良い』って、少し上ずった声で、空君が

『大丈夫、僕はしっかりと押さえているよ』って、リッちゃんが

『僕の準備は、出来ているよ。いつでも、空君の良い時に、三人でカウントしよう、空君』って、僕が言うと空君が

『じゃ行くよ』、『ワン、ツー、スリー』って、

僕は、その時のことをコマ送りのように、一コマ一コマを鮮明に覚えている。アッ、違う、一コマ一コマを見ていたんだ、これが正しいと思う。凄いスピードだったので、風が目に入って涙がその風で涙が飛ばされていった。後で聞いたんだけれど、その涙は、アッちゃんにも愛ちゃんにもリッちゃんにも空君にもかかったらしい。そう言われると、後ろでみんなが

『元ちゃんが泣いている』って、みんなが泣きながら言っていたような声が、聞こえたことは確かにあるんだけれど、僕としては、なんでみんなが泣いているのかが分からなかったんだ。この時のみんなが、どれくらい僕のことを心配してくれたかは、別の機会にお話します。

で、丸い弾になって飛ぶって、くるくると360度回っているんだ。ほら、野球のボールもサッカーのボールも、テニスも卓球もボールって回転しているでしょ、していないときもあるのかなビックリマークでも、この時の僕は、回転していたんだ。だから、あー、あー、あー、って感じに海も見えたし、遠くのヘリも船も、モンスターハトと白いモンスターハトが、まん丸になって飛んでくる僕をよく言う、ハトが豆鉄砲を食らった顔で見ていたのも。そんなモンスターハトとの中で、僕はどうやって戦っていこうかって、その時初めて思ったんだ。

そう、僕はモンスターハトの体の中に入るところまでしか、考えていなかったんだ。


              続きはまた天使