そんな、僕らの思いとは関係なく、ヘリコプターの数が増えていく。ただし、僕らが海を目指し始めたときは、無造作に飛んでいたマスコミ関係のヘリコプターは、規制されはじめたみたいで、自衛隊や警察のヘリコプターの邪魔にならないように、距離を置くようになっていった。とは言え、僕らのスピードはかなり速いので、自衛隊のヘリも警察のヘリも、もう随分後ろになっているんだけれど、その分カラスの大群とハトの大群はこちらに近づいていることになる。
いつもは、僕とアッちゃん、リッちゃんと空君と愛ちゃんが、どちらかが前で後ろになって飛んでいたんだけれど、今日は僕ら横に並んで飛んでいる、お互いに話が見えやすいようにだ。
その時の僕らを見ていた人がいたら、きっとこう思ったのでは
『みんながみんな、同じ方向を見て目はつり上がり、口は一文字に閉じ、鼻は興奮のあまり大きく開き、頬も興奮のあまり赤く火照っているようだ。そして頭からは、怒りの炎が、一匹の猫と二匹の犬は怒りのため毛が逆立たせている。二匹の犬は、時折口を大きく開けて火を放っている。猫は、両手で逆立っている犬の毛をつかみ、瞬きもせずただ一点を見つめている。
女の子は、ポニーテールの髪の毛をなびかせ、左手を犬の首に巻きつけ、右手には随分と大きなブーメランを抱えて、攻撃態勢をとっている。
男の子は、左手を犬の尻尾をつかみ、右手にはなんとも懐かしいパチンコを持っている』って、こんな感じだったと思う。
下を見ると海にも、何隻かの船が見える、どう見ても漁船ではない、ヘリと同じなんだろう。一体、人間はカラスやハトをどうしようとしているのかな、撃ち殺そうとしているのかな。
そう、海はね、きっと魚もなんとなく異常な様子をキャッチしたみたいで、僕の目には、見えなかった。僕の目に見えないと言うことは、この辺の海から魚が居なくなっているということだ。これって、長く続くと不味いことになる、だってお魚がスーパーから無くなっちゃうもの。僕が思うに、逃げるときってもの凄く早いけれど、大丈夫だから帰っておいでって言った時って、のんびりとしていると思うんだ。途中に美味しい餌なんかを見つけたら特に。
『元ちゃん、爪が痛いよ、僕に爪立ててどうするんだよ。元ちゃんは、興奮するとすぐ僕に爪を立てるんだから』って、アッちゃんが緊張を解くように言った。
『アッ、悪い、悪い、つい力が爪に集中しちゃうんだ。ところで、アッちゃんの火炎放射器もリッちゃんの火炎放射器も、調子が良さそうだね』って、僕が言うと
『僕、出来なかったらどうしようと思っていたんだけれど、ちょっとほっとした』って、リッちゃん
『僕も、ちょっと口慣らしをしておかないと不味いと思って』って、アッちゃん
『二人とも凄いいんだね。僕、さっきみたいに口から火を噴く人見たことあるよ』って、空君
『えー、人間が火を噴くの』って、愛ちゃんが
『うん、そうだよ、人間だよ。大道芸のお祭りって言うのがあって、そこで見たんだ。あと、お手玉みたいにチェーンソーをつかってするのも見たんだ。ジャグリングって言うのかな、あんまりよく分からないんだけれど、凄かった、見ていて怖かったよ。怪我したらどうするんだろうって、僕思ったもの』って、空君
『あー、僕も見たことあるなそう言えば、僕がバリバリに元気な頃、遠くの公園まで散歩に行った時に見た。お母さん、興奮してみていたよ』って、リッちゃん、そして
『僕が、火を噴いているところをお母さんに見せてあげたいな。お母さん、絶対に喜ぶのに残念だな』って
『うんうん、分かるよ、お母さんがどんな顔をして見ていたか。ちょっと口開けて、ワーっていうような顔をしていたんだろうな、全くしまりのない』って、僕が言うとみんなが笑った。やっと、僕らは、リラックスしてきた。
そう、あんなにコチコチじゃ、モンスターに馬鹿にされてしまう。
黒い塊が少しづつ、大きく見えるようになってきた。
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