外に出た僕たちの目に最初に映ったのは、

僕の場合は、蟻さんたちだ。僕が、蟻さんを見たのはおそらく、地上の住民だった頃二、三回くらいのような気がする。外に出るわけではないので、見る機会がほとんど無かったんだ。この二、三回だって、たまたまリッちゃんの毛に付いていたのを見たのと、外の階段でと言ってもマンションの中の階段で、リッちゃんとお父さんの散歩の帰りを待っていたときに、偶然に見たくらいなんだけれど。それが今、僕の目に映っている蟻さんたちは、集団、蟻さんの集団て言うのは珍しくは無いのだろうけれど、それが半端な集団ではない。どう説明するといいのかな、ともかく真っ黒な塊、うーん違う真っ黒な1メートル四方くらいの絨毯って言う方があっているかな。蟻さんのメートル四方だよ、想像ができる、想像ができたら、その後どんな感じがする。僕は、はっきり言って気味が悪かった、僕の背中を蟻さんたちがはっているような、考えたら鳥肌が立ってきた。蟻さん、ごめん

アッちゃんの目に最初に映ったのは

ミミズ、カタツムリ、ナメクジなんかの集団って言っていた。アッちゃんは、散歩の時それらの虫さんたちをよく見ていたけれど、あんなに集団でかたまっているのを見ちゃうと、さすがの僕もちょっとゾクッて来たと言っていた。ただしそれと、この虫さんたちのことも守らなければいけないって思うのとは違うから、改めてカラスとハトに負けないって誓ったって言っていた。

リッちゃんは

蛙、ヤモリ、イモリなんかの塊が、最初に目に入ったと言っていた。リッちゃん普段は、気持ち悪いなんて思わないけれど、なんて言うかあまりの数の多さに圧倒されて、朝ごはんを食べたばかりだったから、もどしそうになったって言っていた。そして、みんな生きるために必死で、頑張っているんだって。自分の子供だけではなく、他の虫さんの子供のことも気を遣っている虫さんがいたのには、感激したって。自分たちのことだけでいっぱいなのに、その時リッちゃんも誓ったって、負けないって。

空君は

カラスとハト以外の鳥が、集団になっているのが最初に目に付いたと言っていた。空君の場合は、意識的に鳥を気にしていたからって言っていた。公園にカラスとハトは、いるのかなって思っていたんだって。小さな鳥さんたちが震えているのが、気の毒だったって言っていた。周りの動物さんたちも虫さんたちも、みんなお前らもカラスやハトと同じなんだとうって言う目で見ているみたいだったから、早く誤解をといてあげなくてはって思ったんだって。

そして、空君は大きな声で、僕に

『元ちゃん、猫さんたちが一箇所に集まっているよ。あそこ、見えた、リーダーぽい猫さんが、みんなに何か言っているよ』って、

『あーぁ、分かった。あの猫さん、この辺のリーダーみたいだ。サブさんからの伝言を、みんなに伝えているんだけれど、みんな浮き足立っているみたいだ。カラスの大群が来たら、みんなやられてしまうから、どこか安全な場所に逃げようって言っている猫さんと、自分達の公園を守ろうって言っている猫さんに分かれているみたいだ。バラバラになるのは、危険だ。アッちゃん、リッちゃん、僕はサブさんたち猫さんに決して無理はしないように、野良さんたちは出来るだけみんな一緒に隠れているようにって、伝えてもらうようにするから、五郎さんたち犬さんにも、同じような内容を伝えて欲しい。特に野良さんたちには、喧嘩なんかしないでみんなボスの言うことを聞くようにって。

僕らは絶対に負けないからって、町にカラスやハトの大群が来る前に海上でやっつけるからって、だから、バラバラになってしまわないでって』

『分かった』って二人

愛ちゃんは、戦いが終ってからこう言っていた。

あの朝、外に出て一番最初に目に映ったのは、そして聞こえたのは、愛ちゃんね、木の枝や葉っぱ、花壇の中で咲いているお花が、泣きながら話しているのが聞こえたの。公園の中の動物達は、逃げることも隠れる事も出来るからいいけれど、私たちはどうすればいいの。私たちは、むき出しなのよ、木さんは、まだいいわ。丈夫ですもの、私たちは普段でもカラスに荒らされているんだもの、言わずもがな結果は見えているわ。せっかく綺麗に咲いたのにって、花壇の花さんたちは泣いていて、木さんたちは、花さんがそう言うと、私たちだって大変なのよ。花さんが思っているほど、丈夫ではないの、色々と傷ついているのよ。これでまた何か傷ついたりしたら、切られてしまうの。私たちの敵は、まぁ、カラスやハトだけではなくて、人間も敵だから、中には私たちを治療してくれる人もいるけれどって、泣いていたの。そうか、木さんも花さんも動けないんだよなって、愛ちゃん思ったらすごく可哀そうになったんだって。愛ちゃん、そのときに思ったの、この木さんと花さんたちのためにも、負けないってって、言っていた。

その朝、一瞬の間に僕らは、色んなことを思い、色んなことを感じたんだ。


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