外がざわざわして、騒がしい。動物の鳴き声や、木が揺れて葉っぱが音をたてている。それに地面の中で生活しているような、昆虫のざわめきの聞こえる。
僕んちって、近くに公園があって、動物園もあるんだ。その公園に住んでいる小動物、そう本当にたまに見るらしいリスとか、イモリ、雨上がりの暑い日によく見かけるらしい大きなミミズ、お母さんの苦手な蛙、毛虫に蝶々、他にも色々な虫なんかが騒ぎ出したんだ。木にとまっていつもは寝ている鳥も、みんな騒ぎ出したんだ。
サブさんや五郎さんからの連絡と同じだ、きっと、ここの動物園の動物達も騒ぎはじめているんだと思う。
先導しているのが誰かは分からないけれど、きっとモンスターに影響されている者か、モンスターに心を奪われて者の仕業だと思う。
僕ら動物の五感は、人間の五感に比べるとはるかに優れていると僕らは思っているけれど、それでも少し反応が早すぎる。
僕らは、テレビが見たいという衝動に駆られた、となると僕、アッちゃん、空君、愛ちゃんの目は一斉にリッちゃんに注がれた、そして
『リッちゃん、お母さんを起こして』、『おばさんを、起こして』って言うことになり、リッちゃんは、お母さんの寝ているところに行き、
『ハァ、ハァ、』と、なんて言うか人間の言葉で言うと
『お母さん、お腹空いた、トイレも行きたいよ。早く起きて』って言う感じかな。
で、お母さんは、外のざわざわと、リッちゃんの『ハァ、ハァ』攻撃で、いつもよりかなり早くに、起きることになる。
起きてすぐのお母さんは、カーテンを開けて外の様子を見いる。『えっ』って言う顔をして
『ねぇ、起きて、外の様子がおかしいの。早く』って、お母さんはお父さんを起こす。もう、お母さんは、リッちゃんに起こされたことなんか忘れている。
『何時、なんだよ』って、お父さん
『外、外を見て。あの木、なんかやたらと、鳥がかたまってとまっていない』って、お母さん
『あぁ、そうか。それより、なんだ、あれは。あの変な色の塊は、蛙の塊だ。おかしい』って、お父さんも
『テレビ、テレビ、昨日のカラスとハトは、どうなっているんだ』って。お父さん
僕らも、見たかったんだ、テレビ。
ニュース速報みたいな番組が、放送されていた。キャスターが地方の様子を聞いている、そして昨日からのカラスとハトの動きを伝えている。随分と近づいてきている、そして確実に数が増えているのが、画面を通してわかる。
『元ちゃん、そろそろ出発した方がいい』って、アッちゃんが聞いてきた。
『うん、ちょっと待って、きっとお父さん、今日のリッちゃんの散歩は、中止にするって言うと思うんだ。そうしたら、リッちゃんのおしっことウンチだけを軽く済ませに外に出るから。リッちゃん、すぐに用を済ませるんだよ』って、僕が言うと
『分かった、出来るだけ早く済ませる。僕、ご飯も食べないといけないから。良いな、みんなは』って、リッちゃん
『僕らが良いなんて、そんなことはないさ。リッちゃんが一番良いんだ』って、アッちゃん
案の定、お父さんは、リッちゃんをすぐに外に出して用を済まさせた。勿論、トイレタイムが終ると、リッちゃんは流れとして、朝ごはんにビスケットにチーズにジャーキーを平らげて、用意は出来た。
リッちゃんは、いつでもOKという合図の代わりに、何気にお母さんたちのベッドに行き、気持ち良さそうな顔をしてん寝始める。お母さんが見てもお父さんが見ても、
『タク、気持ち良さそうに寝ているんだから、外は大変だって言うのに。お気楽なんだから』って、思ってもらえるように、今回は長時間寝ていなくてはいけないから、リッちゃんの特訓が上手くいくことを祈るしかない。
リッちゃんの特訓って言うのは、いつもリッちゃん僕らと出かけるとき、寝ているんだけれどその寝方に問題があるわけなんだ。何しろ、いままでは寝ていて帰ってくるまでに、一度も寝返りをうっていないんだ、これは絶対の不自然だ。それで、リッちゃんは幽体離脱した自分を、どうにか遠隔操作が出来ないか訓練していたんだ。
まだ、寝返りがうてたところは見ていないんだけれど、なんか手足がピクピクしているところは、みんなが見た。
それは、リッちゃんを含めてみんなで拍手をした。それくらいに、感激したんだ。
愛ちゃんなんか
『リッちゃん、この遠隔操作でお家に残っているリッちゃんが食事が出来たり、散歩も行けるといいね。そうしたら、帰りの時間を気にしなくてもいいよ』って
『そこまで出来るようになったら、みんなが休む時間がなくなるから駄目だよ。それに僕は、お母さんやお父さんと一緒にいるのが、本当の仕事なんだから』って、リッちゃん。
確かにそうだ。僕はリッちゃんに、お母さんとお父さんのことをお願いしている、アッちゃんのお母さんのれいちゃんのことも、そうして考えると、リッちゃんなかなかハードだ。
リッちゃんの遠隔操作が上手くいくことを祈りながら、僕らは出発する。いつものように、アッちゃんの背中には僕、リッちゃんの背中には愛ちゃんと空君が、そして僕らは申し合わせたように、あのインチキ臭い、いや最高の愛ちゃんの呪文を
『雨の中に、風の中に、闇の中に、深く深く眠りなさい。戦いは終ったの、静かに深い眠りに付きなさい。モンスターには、深い眠りを』
続きはまた![]()