興奮してきたと騒いでいた愛ちゃんは、いつの間にか眠りについていた。今日の場合は、それはありがたいかも、怒るなよ、愛ちゃんって、僕ら。

空君は、ポケットからサッカーボールの消しゴムを、出して磨き始めた。それと、どこで見つけてきたのかポケットからすぐーく懐かしいパチンコを出して、ゴムの具合を確かめている。

『空君、パチンコなんかどうしたの。弾はあるの』って、僕が聞くと

『このパチンコ、力ちゃんの机の上にあったんだ。黙って持って来ちゃったんだけれど、力ちゃんには、犯人が僕だっていうことは、分かっているから良いんだ。これ、僕んちの隣のおじいちゃんが、僕と力ちゃんに作ってくれたんだ。そのおじいちゃん、僕が死んじゃう一年前になくなったんだけれど、僕と力ちゃんのことすごく可愛がってくれたんだ。ほら、ここを見て、空って彫ってあるでしょ。これ、きっとお母さんが、力ちゃんにあげたんだと思う。声を掛けることが出来なかったから、でも、僕がこれを手にしたとき、力ちゃん気が付いていたから、大丈夫。弾は無いんだけれど、石ころで十分だと思うんだ。力ちゃんのところから持ってきたときは、これを使うことなんか思っていなかったけれど、なんだか役にたちそうな気がしてきた』って、空君。

『多分、めちゃくちゃ役にたちそうな気がする』って、リッちゃん

『まだ、カラスやハトは増え続けているのかな』って、アッちゃん

『だと思うよ』って、僕はいいながら、爪を研ぎはじめた。

『元ちゃんが、爪とぎをするなんて、珍しいね』って、リッちゃん

『うん、あんまりって言うか、のびていなんだけれどそれでも研いでおくと違うと思うから。ちょうど亡くなる前に、お母さんがきれいにカットしてくれたから、まぁ、しょうがないか』って、僕

『アッちゃん、何しているの』って、空君が

『僕も、明日の為に、犬歯を研いでおこうと思って』って、アッちゃんは、すごく器用に爪で犬歯を研いでいる。

『僕は、犬歯を研ぐわけにはいかない』って、リッちゃんが

『そうだよ、リッちゃんは不味い。おじさんとおばさんがびっくりしちゃう』って、アッちゃん

『でも、僕も犬歯を研ぎたいな、僕も武器が欲しいな』って、リッちゃんがいじける

『あるよ、リッちゃんにだって武器は、おそらくアッちゃんと同じように、火炎放射器のように口から火を噴くことが出来ると思うよ。ねぇ、アッちゃん』って、僕はアッちゃんのほうを見た。

『うん、出来はずだよ。ただし、今ここでしちゃ駄目だよ。僕も、山さんでモンスターと戦ったときに、偶然に出来たんだ。神経を集中させて、エイッて感じだよ。大丈夫さ、僕、あの時の思ったんだけれど、なんか自分でも信じられない力が出てくるんだって』って、アッちゃんが言うと

『本当、僕、まだモンスターと戦ったこと無いんだもの。僕にはどんな力があるのかも分からないし』って、リッちゃんは不安そうに

『リッちゃん、本当に必要なのは、武器じゃなくて、モンスターに負けないって言う強い心だよ。僕らには、その強い心がしっかりとあるから、その心が僕らを助けてくれる武器になるんだ。僕の言うことを信じて』って、僕

『そうだよ、こんな小さなサッカーボールの消しゴムだって、僕がモンスターなんかに負けたくないって、一生懸命に思って蹴ると、すごいパワーがでるんだから』って、空君

『分かった。もう、悩まないよ。僕にも、何かすごい力があるんだ』って、リッちゃん

リッちゃんの心配する気持ちがよく分かる。本当は、僕だって自分に何が出来るのか心配だもの。山さんのときのように、上手くいくとは限らない、それに今度のモンスターのパワーはすごそうだ。

『愛ちゃんは、ブーメランの手入れをしなくていいのかな』って、言いながら空君があくびをした。

『空君、少し休んだ方がいいよ。明日は大変だから』って、リッちゃんが自分に言い聞かせるようにいった。

『うん』って、素直の空君は横になり目を閉じた。

空君が、目を閉じてしばらく僕らも眠るわけではないけれど目を閉じていた。ふっと、気が付いて僕ら三人が目をあけたら、目の前にボス猿さんがすっと立っていた。

『お久しぶりです。その節は本当にありがとうございました。みんな、天界で幸せに日々を送っています。今日、来たのは、カラスとハトの大群のことで、私も地上に残っている妻と子供に、各山にいるボス猿に連絡をして元気さんたちのお役の立つようにと、話しておきましたので、山に関しては安心してください。他のみんなも、天界から送れる仲間には、協力頼んでいます。これを伝えたくて、私たちには、それ以上のことが出来ないので、気をつけて』っと、それだけ言うとボス猿さんは、僕らと話をすることなく、また来た時と同じようにすっと消えた。


                 続きはまた天使