力ちゃんは、そこにいる空君が見えているように、空君に話しかけるように

『あの日、僕と加奈はお母さんに頼まれて、駅前のスーパーまでお使いに行く途中で事故にあったんだ。

空との事故のときは目撃者の人が、なかなか出てきてくれなかったけれど、加奈との事故のときは、たくさんの目撃者の人がいたんだ。そう言うと、じゃあ問題は無かったじゃないかって思うだろう。

それがさ、そうでもなく、目撃者がたくさんいると言うことは、いろんな意見が出てきて、僕と加奈は信号をちゃんと見て、青を確認して手をあげて横断歩道を渡っていたのに、意見がごちゃごちゃんになってしまった。

そしていつの間にか、僕と空の事故のことが持ち出されて、その持ち出され方も正しい持ち出され方ではなく、僕らが横断歩道を信号を無視してふざけながら歩いていて轢き逃げにあったって。

僕は、二つの事故で二回とも意識不明になっていて、事故直後のことをちゃんと話す機会を失っていて、気が付いた時に聞かれて、ちゃんと答えても僕の言うことは、ほとんど聞き入れてもらえず、僕は、周りの人たちから冷たい目で見られるようになった。

そして、一番冷たい目で見ていたのが、一番僕ことを理解していてくれていると思った、お母さんだった。

僕が意識不明のときは、看病してくれていたらしいんだけれど、僕が意識を取り戻すと段々病院にも来てくれなくなった。

お母さんは、きっと僕が死ねばよかったて思っているんだと思う。何で生きているのが僕で、何で加奈が死んだのかって、僕聞かれたんだ。

十歳の子に、母親が聞くんだよ。僕は、何て答えるといいんだ。僕は、ただただ愕然とするしかなかった。そして、

僕は、病院のベッドで泣くしかなかった。僕は勇気がないから、いまだに死ぬことが出来なくて、こうして生きているんだ。自分でも情けないくなってくるよ。

空は、空は知っているだろう、僕のお母さんは、明るい人だったって、そして僕のうちはいつも、笑い声が耐えなかったって、それが今では来る人もいなければ、笑い声もしないんだ。みんな、僕のせいさ、僕が生き残ったから、自分の体にはたくさんの傷を残し、お母さんの心には、大きな穴を開けてしまうし、こんな生活がもう4年以上続いているんだ。

加奈は、空と同じように即死だったんだって、後から聞いたんだ。酒酔い運転ではなかったけれど、やっぱり轢き逃げで、運転手は捕まったっけれど、たいした刑にならなかったらしい。僕には犯人の刑なんかどうでもいいんだ、僕にとっては、どうして僕を殺さなかったかと言うことなんだ。

僕にとっては、退院して家に帰ってからが地獄だった。今もそうだけれど、毎日が地獄だよ。

お母さんは、一切僕に話しかけてくれない、あぁ一度だけ、僕を誘ってきた、それも空や加奈の轢き殺された、あの横断歩道へ。僕は、はじめ花を持って行くのかと思った、そうしたらそうじゃなくて、

『力と一緒に、この横断歩道を渡ると、私も加奈のところへ行けるかしら』って、お母さんはそう言ってしばらくの間、事故が起こった時間になると僕をあの横断歩道に連れて行ったんだ。

なんて言うか、僕が加奈を殺したんだって言われているみたいに。

それじゃなくても、あの横断歩道は、この辺に住んでいる人間にしてみると、どうしても通らざる得ない道だけど、あの頃の僕にしてみると、針の筵に立たされている感じだった。

それに気が付いてくれたのが、空のお母さんだった。たまたま、空のお母さんが空に花を持ってきたときに、僕とお母さんを見ておかしいと気が付いてくれて、お父さんに話してくれて、それはなくなったんだけれど。

そのことがあってから、空のお母さんと時々あって話をするようになった。僕がこうして何とか、正常でいられるのは、空のお母さんがいてくれるから、空のお姉さんやおじさんも、僕のことを気に掛けていてくれて、時々電話やメールをくれるんだ。僕にとって、空の家族って灯台みたいなんだ、僕の港がどこなのか分からないけれど、ずっと明かりを照らしていてくれる。

そうだ、元、いい物を見せてあげる』って、力ちゃんがディーバッグから携帯電話を取り出した。


               続きはまた天使