とにかく、ここの家で分かったことは、力ちゃんの妹の加奈ちゃんが、何かの理由で亡くなっていたということだ。多分、空君が天界で加奈ちゃんと会うことが無かったのは、空君と愛ちゃんは、天界の入り口を境に出たり入ったりを繰り返していただけなので、天界の住民になった人や動物をちゃんと見ているわけではないので、きっと気が付かなかったんだと思う。僕やアッちゃんは目が覚めたら、キャットマザーやドッグマザーが僕らに寄り添っていてくれたんだ。そう、よく考えたら僕もアッちゃんも、天界のことは何も知らないんだ。ただ、僕らには、僕ら自身もまだよく把握していない力を持っているみたいなのと、睡眠さえ適当にとっていると食事をしなくても、、水分を取らなくても問題が無く、地上にいたときの傷ついた体、病気は治っている。心に関して言えば、どうしても癒すことの出来ない人もいる、そうするとモンスターになってしまう人も出て来る。空君や愛ちゃんもどちらかと言うと、モンスターよりだった。まぁ、こんなことで合えなかったんだと思う。

力ちゃんのお父さんに聞くわけにもいかないので、僕らは力ちゃんの部屋に

『空君、大丈夫』って、僕が聞くと

『うん、8年って長いんだなーって。僕は、8年前から先に進めずにいるのに』って、力なく

『愛ちゃんの10年もそうだったよ。でも、今は私たち少しつづ変わっているよ』って、愛ちゃんが

『そう、すごい愛ちゃん』って、リッちゃんが

『誰が、力ちゃんに話しかける。空君は、駄目だよ』って、アッちゃんが

『僕が、話しかける。もしかしたら、僕猫だし気を許してくれるかもしれない』って、僕が

『元ちゃん、頼んだよ』って、空君が心配そうな顔をしている。

『一人で、大変そうだと、僕らも手伝いに出るね』ってアッちゃんとリッちゃんが

『分かった、ここでみんな聞いていて』って、言って僕は、力ちゃんの足元に行き

『ニャオン』って泣きながら、つま先だって机のいすに座っている力ちゃんの膝に両手をかけた。

僕の泣き声が小さかったせいもあるけれど、何か真剣に考え事をしていた力ちゃんは、はじめ僕の存在に気が付かなかったみたいだ。

膝にかけた両手から、少し爪を立ててやっと僕に気が付いた。僕は、力ちゃんに

『ねぇ、何をそんなに真剣に考えていたの』って、かなりストレートに聞いた。

『猫、何でこんなことろにいるんだ。それに言葉を話している』って、力ちゃんが、でもこれと言って、僕のことを驚いたと言う感じはしていない。なんて言うか、僕がいつか、力ちゃんのところに来ることを知ってたような、だから、僕は、力ちゃんにこんな風に言ってみた。

『何で、僕を見ても驚かないの。僕が、いつか力ちゃんのところに来ることを知っていたの』って、聞いた。

『へーえ、僕の名前まで知っているんだ。僕は、何も知らない、ここに突然、猫が来るなんて。ただ、僕はもう僕の目の前で、何が起きようと驚いたりしないんだ、驚かないことにしたんだ』って、力ちゃんが。

僕は、力ちゃんと目と目を合わせて話している、今言ったことに嘘はないって目を見ていると分かる。ただ、その力ちゃんの目には、輝きが無いというか、15歳の少年の目では無いような気がする。上手く言えないけれど、生きていくことに疲れきっていて、まるで抜け殻が洋服を着てそこに座っているように見える。

『何かあったの。僕、力ちゃんのことをすごく心配してる子の仲間なんだ。その子、自分よりも力ちゃんのほうが、辛い思いをしていると思っているよ』って言うと、力ちゃんは目を閉じて、少し間をおいて

『猫の仲間のその子は、今どうしているんだ』って聞いてきた。

『あー、僕、自己紹介していなかったけれど、名前があるんだ。元気って言うんだ。みんな元ちゃんって呼んでいるけれど。まぁ、そんなことはいいんだけれど、力ちゃん、その子のこと気になる』って、僕が言うと

『そりゃ気になるさ。多分その子は、僕のたった一人の親友だから』って、声を震わせて言った。そして

『もう、帰ってこないんだよな、空もそして加奈も』って

『加奈もって、加奈ちゃんは力ちゃんの妹でしょ。どうして、帰ってこないの』って、意地悪な質問を僕はした。

『僕と関わった子供は、死ぬんだ。空も加奈も、僕にとって大事な子は、僕と一緒にいて交通事故で死んじゃんだ。そして僕だけ、生き残るんだ。何で、僕なんだ。僕が空が亡くなった事故のときに死んでいたら、加奈は死ななくてよかったかもしれないのに。そうしたら、お母さんだってあんな風にならなくてもよかったのに。全て、僕は生き残ったことに、間違いがあるんだ。空の命日に、たまに空のお墓で空のおばさんに会うことがある、空のおばさんは、僕にもう少し空から離れなさいって言うんだ。僕は、生きているんだから、もっと前向きに生きてって、そうしてくれることをきっと空も望んでいるって。確かに、そうかもしれないって思うこともある。でも・・・ 』

『加奈ちゃん、交通事故で亡くなったの』って、僕

『そう、空のときと同じ、全く同じ、同じ横断歩道で、一緒に歩いていたら、お母さんに加奈の手をちゃんとつないでねって言われて、僕はちゃんと手をつないで青信号を手を上げて、なのになんでどうして僕だけ生き残るんだ』って、力ちゃんは机を拳でたたきながら泣き始めた。


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