僕らは、晴れやかな気持ちで、愛ちゃんの家をあとにした。こういうのって、不謹慎って言うのかな、でもね、これは、正直な気持ちなんだ。だって、愛ちゃんとお母さん、本当に良かったんだよ。ほんの一瞬だけど、二人は親子になれたんだもの。いつか僕たちが天界に帰ったら、愛ちゃんのことお母さんがお迎えしてくれるだろうから。ただ、おばあさんのことは、気にならないわけではないけれど。多分今頃、おばあさんが愛ちゃんのお母さんの亡くなっていることに、気がついた頃かもしれない。おばあさんには気の毒だけれど、きっとおばあさんもお母さんの顔を見たら、ほっとしてくれると思うんだ。

家に着くと、リッちゃんは話が出来るように、お母さんたちと離れてベッドの上で僕らが帰ってくるのを、今か今かと首を長くして待っていた。とは言え、リッちゃんは待ちくたびれて、うとうとと居眠りをしていたので、お母さんたちは、リッちゃんの寝ている姿を見て

『リッちゃんも年だから、少しボケてきたのかな、さっきみたいにワンワン吠えちゃって』って、話しているところだった。

愛ちゃんは、そんなこととは知らずに気持ちよく居眠りしているリッちゃんを、

『ワビックリマーク』って、驚かしたものだから、またリッちゃんは

『ワン、ワンワン』って、焦って吠えてしまった。

その鳴き声に、お父さんとお母さんは、向こうの部屋で

『リッちゃん』って呼んでいるし

僕らは、リッちゃんを囲んでにやって笑っているしで、リッちゃんはばつが悪そうにフンフンと鼻を鳴らした。

『みんな、お帰り。愛ちゃん、お母さんに会えて、お母さんに抱いてもらって良かったね。お母さんが亡くなったことは、悲しいけれど』って、リッちゃんが言うと

『うん、少しだけ本当に少しだけ、お母さんのこと分かったような、とにかく愛ちゃんのこと、忘れていなかったことが愛ちゃんにとっては、嬉しかった。リッちゃんにも、いつか愛ちゃんのお母さんが描いた絵を見せてあげたいなぁ。愛ちゃんに、そっくりなんだよ。愛ちゃんのお母さん、絵が上手かった。ねぇ』って

『うん、よく似ていた。愛ちゃんのこと、しっかりと心の中に刻んでいたんだと思う。ちゃんと、親子だったんだよ。上手くお母さん出来なかったけれど、そのことをずっと後悔していたしね』って僕が言う

『僕、ずっと愛ちゃんのお母さんと話していて思ったんだけれど、お母さんになるって、とても大変なことなんだね。その、上手く説明できないけれど、まだ大人になっていない人がお母さんになるって、すごく難しくて大変なことなんだって。そして、愛ちゃんのお母さんが、とても苦しんでいたのが見ていて辛かった。ママの声が聞こえたときは、本当に僕、嬉しくて嬉しくて涙が出てきた。だって、僕ではなくて、愛ちゃんを抱かせてあげられると思ったら、あのときのことを思い出すと、僕また涙が出てくる』って、空君が

『どうやら、僕たちはみんな、涙もろいみたいだ』ってアッちゃんが

愛ちゃんが、いきなりすくって立ち上がり

『みんな、ありがとう。愛ちゃん、これから、なんて言うか、えーと、心おきなくモンスターと戦えるよ。今まで以上に、どんなモンスターにだって、負けない。愛ちゃん、お母さんに抱かれながら、誓ったんだ。きっと、若かった頃のお母さんの心の中には、モンスターが住んでだいたんだとおもう。お母さんは愛ちゃんが亡くなってから、おばあさんに力を貸してもらいながら、モンスターと戦っていたんだと思う。それで、体がずたずたになってしまったんだ、多分。きっと、そういう人がいっぱい居そうな気がしてきたもの』って

『そうかもしれない。モンスターって、ほんの少しの隙間から入っていくから』って、リッちゃんが言う

『その隙間は、人間だけじゃなくて動物にもあるんだ』って僕が言うと

『あー、なんとなくそれにあてはまるやつ、僕知っているよ』って、リッちゃん

『僕も心当たりがある』って、アッちゃん

『僕も』って、空君が

僕と愛ちゃんは、

『外に出たことがないから、あんまりわかんないよ』って


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